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女性用【いじましい貴方様へ】

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　♂0：♀1：不問0

　諦めた女性

[あらすじ]《１分半程度》

　貴方はそういう人なのだから、と。諦めてほしかったのでしょう。違うんだ、そんな否定の言葉も、もう彼女には届かない―――。

【諦めた女性】

　人は、『弱者（じゃくしゃ）』がお好きですから。

　いじらしくて、愛らしくて、努力を惜（お）しまない、けれどその努力も報（むく）われない『弱者』が好ましくて仕方ないのですから。

　だから、ワタクシなんて愛されっこありませんとも。最初から、分かっていた事でしてよ。

　そんな当たり前に、今更ジタバタしませんとも。そんな事をしても、過去には戻れませんもの。

　…戻れるとすれば、生まれる前に戻りたい。生まれる前に戻って、閻魔（えんま）様に塵（ちり）でも埃（ほこり）でも蚊（か）でもいいから、決して人になんてしないで下さいと頭を下げます。

　人にするなら、どうか貴方様とは出会わないようにして下さいと懇願（こんがん）します。

　出会ってしまったら、…また、恋をしてしまうわ。また虚（むな）しい思いをしてしまうわ。

　人は『弱者』がお好きだけれど、貴方様は一層『弱者』を愛していらっしゃるもの。

　ワタクシだって、よく頑張ったと、頭を撫（な）でて頂きたいわ。

　今日も一日お疲れ様と、貴方様の腕の中で眠りたいわ。

（少し声を震わせて）

　……、…愛していると、貴方様の唇（くちびる）を感じたいわ。

（自嘲（じちょう）して）

　…やあね。

　こんな可愛げもない、いじらしくもない女。愛してくれる男なんて一人だって居ないですね。

　ええ、分かりましたわ。

　貴方様はそういう人。もう、諦めますわ。

STORY END.