女性用【語り部江倉〜夜桜編〜】
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江倉
[あらすじ]《2分程度》
語り部の江倉。二十から増えぬ歳。皺の知らぬ白い肌。呪いか奇跡か。答えが分かるまで歩き続ける彼女を、今日も誰も覚えていない―――。
【江倉】
よしよしよしよしッ、キタキタキタ! はい、そこのお前! 目が合ったね! わたしと目が合ったね! それがお前の運の尽きだ! 諦めて聞いていけ!
何? 用事がある? 知った事か! 絶対に忘れらんない話をしてやっから、そこに座れ!
(喉の調子を整えて)
あー…、あー…、んん゛。
さって、今日話すのは砂漠に咲く夜桜についてだ!
砂漠といやぁ、色々あるが…夜桜が見える舞台はアッダカルルだ。
サマァタやシュリルに比べりゃあ地味な砂漠とオアシスだが、この春が終わる時期には特別なものが見れるんだなぁ。
場所は〜…アッダカルルのオアシスなんだが、んん…サマァタと違って、オアシスに番人は居ないからな。
アッダカルルの酒屋『メルヴィーニャ』を出て延々と右へ進めば、夜桜の見えるオアシスがある。この時期なら、オアシス全体が桃色に光り輝いているからよぉく見えるはずだ。
だが、夜桜の正体は桜の木ではない。
この時期に北から渡ってくる『コバドリ』の求愛行動のお陰だ。
奴らは桃色の羽を羽ばたかせて、雌に自分を美しく見せようとする。
その際に羽の間にある、普段は見せない反射板のような部位が、奴らの羽を光り輝かせているのだ。
それがアッダカルルの一部のオアシスでしか見れない夜桜の正体だ。
見たいなら、夏が始まる前に行く事だ。暑くなってくると『コバドリ』はアッダカルルから更に南に渡る。そこで子作りをするからな。
それと、夜しか見られないからな。昼間は奴ら、どこかに飛び散ってるか、寝てるかだからな。
よし、宣伝は終わったし。そろそろわたしは行くとしよう! あん? 名前? ああ、語り名か?
・・・・、江倉。古より語り歩く酔狂な女よ。
なに、覚えなくていい。どうせ忘れちまう。
じゃあッ! 次の『初めまして』に備えて今日は帰ろう! さよならだっ!
STORY END.