男性用【語り部鹿華〜手封送編〜】
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鹿華
[あらすじ]《4分程度》
語り部鹿華は全語り部の憧れだ。語り部と言えばと聞いて返ってくるのは彼の名ばかり。『生きる伝説』とまで呼ばれたあの語り部は今、どこで何をしているのだろう―――。
【鹿華】
(背伸びをして)
っ〜…! さ、始めっか!
語り部鹿華。
…知らねぇ奴は知らねぇでいいけどな、あんまし世間の事に無頓着だと、他所で恥かくのは自分だぜ? あ? 自分が世間の中心だと思ってんのか、って? 自意識過剰は語り部の最大の武器だぞ。
無駄話が過ぎたな。今日は〜っ…と。
何だよ、今から語ンだから邪魔すん…あ? 手封送かよ。布なんて被ってるから何処ぞの鼠小僧かと思ったぜ。
嗚呼、手紙な。そこ置いてけ。心配すんな、俺の客に物盗りは居ねぇよ。
ふぅー・・・、とんだ珍客だったな。
あ? アレは何だって? オイオイ、世間知らずどころの話じゃねえぞ、それは。
手封送ってのはな…あいや、ちょっと待て。今日は手封送の話をネタにしてやろうか。
手封送は大昔から、遠くに居る身内や知人へ手紙を送る手段として利用されてる、ちっとばかし珍しい種族でなぁ。
姿形は影しかなくて、言葉を話せる奴と話せない奴が居る。
違い? さあ? 聞いても教えてくれねぇし。ンな事考えた事も無かったわ、はは。
手封送の利用方法? 簡単だぜ。
自分の血でも他人の血でも良いが、『人間の血』を使って血判すりゃあいい。
それを手紙にでも、封にでもして、届けたい相手の名前を書き込めばアラ不思議。とんと目を離した途端に手紙は手封送が相手の所へ届けてるって寸法だ。
住所はいいのかって? 書いても書かなくとも手封送には関係無いからなぁ。
アイツらはずっと、ずっと、ずーっと大昔に、とある男が生み出した怪異だからな。
…オイオイ、ビビってんのか? 大丈夫だって。手紙に使う血判に人間以外の血を使わなけりゃあ、何も問題ねぇよ。
人間以外の血を使った奴の事は〜……あー…まあ聞かねぇ方が身の為だな。
ま、これが大陸のお届け人である手封送の話だ。手紙届けたい奴は、この近くの露店で売ってたから試してみるのも良いかもな。
最近じゃあ、語り部や商人以外だとあんまし使われねぇってボヤいてたし、悪い奴らじゃねぇし、金も取られやしねぇから使ってやってくれよ。な?
…………。
あー…そうだ。お前さん。そう、お前さん。他では見ないくらい世間を知らねぇみたいだから、一つ忠告だ。
怪異やら妖怪やらに対しての好奇心は多少の怪我で済むかもしれんがな、それ以外の〈在る〉奴らには絶対に手を出しちゃあならないぞ。
(少し悲しそうな顔をして)
……なぁに、気にしなさんな。
世間知らずが時に、世界をひっくり返すような馬鹿を起こすのを、俺ぁ知ってるだけだからな。
さて、今日はここまで。
俺の名を広めるも広めねぇも好き勝手に。また知らぬ地で会おうぜ。今度も退屈なんてさせねぇからよ。
STORY END.