女性用【どんより乖離】
台本タイトルは【どんよりかいり】と読みます。
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遠くを見つめる女性
[あらすじ]《2分程度》
伝えようとすると涙が出そうなので、と前置きをして、女性はこちらを見ることなく話し始める。時折こちらを見ようとする挙動が酷く幼く見えた―――。
【遠くを見つめる女性】
きっと、母は。私が死んだら“心の弱い子でしたから”と方々に頭を下げて回るのです。
そしてきっと、母は。私の遺影を飾る事なく仕舞い込んで、大した家でもないくせに、“一族の恥だ”と身内に言って聞かせるのです。
母はそういう人です。…きっと今もそういう人です。
分かっていましたよ、母は私が死んでも変わらないし変わってくれないし、分かってもくれないんだろうと。
でも心のどこかで期待していました。私の死を悼んでくれて、静かに涙を流す母を、いつも想像していました。
…一生現実になる事なんか無い、虚しい妄想です。
(相手の言葉を聞くと、漸く微笑んで)
………そうですね。
やっと離れられたのに、これでは一緒にいた頃と変わりませんね。
…私も、変わらないと。
心の中では、決別出来たと思っていても、いざ言葉を零すと、出てくるものは妬みや恨みばかりなんて。
これじゃあ母と大して変わらないわ…。
(息を静かに吐いて)
…最後に良いですか。
母に、…伝えて欲しいこと…、やっと決まったので。
(息を吸って)
“貴方と離れて幸せになります”
と、お伝え下さいますか。
……きっと、“ああそうですか”と言われると思いますが、その言葉だけお伝え下されば充分ですから。
それでは、どうか。
宜しくお願いいたします。
STORY END.