女性用【糾えば簡単なコト】
台本タイトルは【あざなえばかんたんなコト】と読みます。
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静かに笑う女
[あらすじ]《2分程度》
資産家が死んだ。他殺だった。犯人は資産家の妻。彼女は何の言い訳をするでもなく、「私が殺しました」と静かに笑った―――。
【静かに笑う女】
殺して欲しい、って言ったような気がしたんですよ。
幻聴? いいえ、彼はね、物事を言葉に起こすのを、よく迷う方でしたから。
言っていない、で良いんです。
私にはそう聞こえたんです。
刑事さん、そうやって端から“犯人はオカシイ”って目をしないで下さい。
確かに私は人を、夫を殺しましたけれど、何も生まれた瞬間から私、おかしかった訳ではないんですから。
いつから殺意を………?
ずっと。
ずっとです。
健やかなる時も、
病める時も、
喜びの時も、
悲しみの時も、
富める時も、
貧しい時も、
彼を愛し、
彼を敬い、
彼を慰め、
彼を助け、
この命ある限り、真心を尽くす事を誓った…
あの時から…ずっと。
ずっと ずっと ずっと ずーっと。
殺したくて、殺したくてたまらなかった。
……。
遺産の為……?
いいえ、彼のお金に興味はありません。彼のお金に手を出す気もありません。
私の殺しがバレないまま、警察が無能のまま、時が過ぎていったなら、どこかの施設に寄付でもして、ひもじい思いをして生きて行こうって思っていました。
ではナゼ………?
だから、言ったじゃないですか。
彼が殺して欲しい、って言ったような気がしたんですよ。
私にはね、何も無いんです。
お金も、力も、信頼も。
何も無いんです。
料理も上手く無いし、裁縫なんてやった事もない。
デートの返事だって、いつも『はい』ばかりでつまらない女。
…夜も、いつまでたっても初で。
彼を満足させられる要素なんて何一つ、無かったんです。
だから、
初めてだったんです。
やっと、
彼の役に立てるんだって。
刑事さん、私。
馬鹿な女ですか……?
STORY END.