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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
174/196

男性用【語り部蝋卵〜鬼才編〜】

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 蝋卵

[あらすじ]《3分程度》

 かた蝋卵ろうらん界隈かいわいの一部から物好きとそしられ続け、早数十年。かたぐさえる事無しと、ほくそんでいる―――。













【蝋卵】

 やあ、こんにちわ。…こんばんわかな? ひひ、夕暮れ時の挨拶あいさつが欲しいものだね。


 ワタシは蝋卵ろうらん。語り部の中では古参こさん、と呼ばれるようになったのかな。

 ひひ、時の流れは水鳥みずどりの様にとはいかないねぇ。


 ワタシが語る“もの”? ひひ、ワタシは“もの”を語るのさ。それも、“語り部”をね。

 今日は誰を語ろうか。有名どころにも無名むめい達にも、これ以上にないほど、濃厚のうこうかんばしい道があるからね。


(ハッとして)

 そうだ、今日は“彼”にしよう。


 大丈夫、語り部業が素晴らしくさかえている、この時代に生きる全ての人間が知っている名だ。



 『第二の咲鳥さとり』。

 最初に彼をそう呼んだ誰かは、彼をねたんでいたのやもしれない。彼がその名を与えられて、困ればいいとたくらんでいたのやもしれない。


 でもその名は、彼を益々(ますます)有名どころにしてしまった。この名を聞けば、ニワカも振り向くご活躍かつやくだ。


 彼の出生しゅっせいはご存知かな? 名家めいけ分家ぶんけに生まれ、彼にとっては記憶にもない“些細ささいな出来事”によって、本家ほんけ養子ようしになった。


 つまり、彼は今後生き長らえるのに、何一つ困らない地位に居たクセに、それを手放して語り部になったのさ。

 ひひ、天才の考える事ってのは、凡人ぼんじんには理解しがたいねぇ。


 そうして、無名だったのはほんの数ヶ月。どこぞの騎士きしくずれに名をさずかると、同時期の無名達を一気に置き去って、中堅ちゅうけんになる頃には、誰もが知っている語り部となった。


 ワタシから言わせてもらえば、“あり得ない”。そんな、伽話とぎばなしのような展開があってたまるかい。

 戦えもしなければ、顔が利く訳でもなく、ただあったのは語りの才だけ。


 ひひ、まさしく夢物語だよ。



 …だが、彼は居る。

 有名を目指した無名達が歯軋はぎしりをした先に。

 向けられていた視線を奪われた“元”有名達が目をらした先に。


 ひひ、『第二の咲鳥』だなんて。

 とんでもない。そんな異名いみょう、彼の足元にもおよばないさ。


 ひひひ、


 彼は『鬼才きさい』なのだから。


 一度は誰もが夢を見るソレを、夢見ることなく手に入れて、その地位におごる事なく居座り続けられる、…その強欲ごうよくさに目眩めまいがするよ。

 ひひ、天才の思考なぞ、凡人には理解できないけれど。


 ……いつまでその栄光えいこうが続くのか、見てみたい気もするけど…ワタシがちる訳にはいかないねぇ。


 さあ、今日はこれにて閉幕へいまくしよう。その天才に会いたければ探してみたらいい。

 …逃げ足がとてつもなく早いらしいからな、逃げられないようにね。















STORY END.

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