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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
173/196

男性用【くっきりと視えない】

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 ♂1:♀0:不問0

 目が悪い人

[あらすじ]《2分半程度》

 思わずギョッと目をみはる。それから目を細めて、ああ、何だ。またか、と目を伏せた。ワタシが首吊くびつり死体と勘違いした風船が、目の上を泳いでいった―――。











【目が悪い人】

 電信柱の半分にもなるような、大きなさるを見たかと思えば、それは変に曲がった木のみきだったりして。

 そういうのが、多々あるんですよ。


 そういうのをね、目が悪いからだって思って、眼科がんかにも行ったんですけどね。

 両目とも、2.0。特に異常も無ければ、このとしにしては優秀な視力だ、なんて太鼓判たいこばんまで押されちゃいましてね。


 だけれど、外を歩くたんび、そういう事があるもんですから。ほら、気味きみが悪いじゃないですか。変なものにかれでもしてんじゃないかって。


 だからね、知り合いにお寺さんの生まれが居たもんですから、ちょっと見てもらおうと思って、紹介をしてもらったんです。


 着いてみると、随分ずいぶんぢんまりとしていて、失礼ながらに本当に大丈夫かと、心の中で知り合いを疑いましたよ。

 そうしたら、そこの住職じゅうしょくさんというんですか、和尚おしょうさんというんですか、出てきましてね。


 自己紹介もせんままに、『そう思っていれば無事でしょうな』と言ったんです。

 一体なんの事か、最初は分かりませんでしたけどね、続けて彼が言ったんです。


『顔の真っ赤な女が立っていたと思えば、それは赤いポストでしたね』


 それだけで充分じゅうぶんでした。この人に頼ればもう一安心。何もかも分かっておられるのだと。

 いや、しかし。彼はおきょうとやらを読む訳でも、ワタシに憑いているであろう何某なにがしかに話し掛ける訳でもなく、ただ、最初の言葉を言ったんですよ。


『そう思っていれば無事でしょうな』と。


 ワタシが首をかしげれば、彼は困ったようにまゆを下げ、口を開けては閉じ、開けては閉じを、繰り返しまして。

 そして、やがて観念したみたいに、コチラを真っ…直ぐ見て、こう言いました。


『これからも、木の幹と思っていなさい。これからも、赤いポストと思っていなさい。思い込んでしまえさえすれば、彼らはそれ以上近寄って来ないから』、とね。


 そんな事聞いちまったら、おっそろしくて、寝れやしないじゃないですか。

 だけれど、彼に不満それをぶつけても、何にもなりゃあしませんから、ワタシは一言礼をして、少々ばかりの金をにぎらせて、逃げるように帰りましたよ。


 それから? 言ったでしょう。そういう事がね、多々あるんですよ。


 だけどね、目が悪いから仕方ないんですよ。













STORY END.

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