男性用【入道雲にキスをして】
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あっけらかんとした声
[あらすじ]《2分程度》
雨が恋しい夏の日に。隣に座った男子生徒は机の上に乗った花瓶を見つめながら、あの日の事を話し始めた―――。
【あっけらかんとした声】
在り来りな話をしようか。
こらこら、欠伸をするのはまだ早いって。
あの日は雨が降ってた。
夏の時期の、イヤ〜な雨。ジメジメしてて、どんよりしてて、でもちょっぴり風が涼しい、そんな雨の日。
幼馴染が入道雲にキスしてた。
入道雲って知ってる? 夏の時期に見られる、うんざりする雨を連れてくる雲の事ね。
(胃の中の空気を全て吐き出すように)
…なんかさぁ、あれからあっという間だったなぁって思うんだよね。何年とか、そういう『時の数え方』も億劫なくらいに、あっという間だったなぁって。
今でもオジサンとオバサンは悲しんでて、今でも校舎の陰には花が咲いてる。
良い奴、だったんだけどなぁ。
もう声も忘れちゃって、写真も、残ってるけどさぁ。こんな顔だったっけって思っちゃうわけ。
…あの日に、一体何があったんだって未だに聞いてくる、執拗い大人も居るけどさ、そんなの…ボクの方が知りたいよ。
あの日は、幼馴染の誕生日だったはずで、オジサンとオバサンが、十六歳のお祝いにって、綺麗な腕時計を買ってくれたって、嬉しそうで。
…何でだろ〜なぁ、って。ボクも、不思議でたまらないんだよね。
STORY END.