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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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154/196

女性用【ハッピーエンド】

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 ♂0:♀1:不問0

 冷静な表情かおの少女

[あらすじ]《3分半程度》

 大きな玉座ぎょくざに座るのは、私の娘よりも幼い少女だった。その頭に被るには少々大きい王冠おうかんは、だけれど彼女によく似合っているように見える。

 私を見据みすえた少女は静かに口を開いた―――。













【冷静な表情の少女】

 …よく来た、勇敢ゆうかんおろかな騎士きしよ。


 私はべる王、…だったものだ。

 かつて大陸中を死の恐怖におとしいれた力はもう無い。つい先程、最後の眷属けんぞくとのちぎりをいてやったところだ。


 今やたった一匹のスライムよりも非力ひりきな私に何用なにようか。


 ……何? 私が何故なにゆえ王になり得たか、だと?



 …………知らぬ。

 気が付けば私は私だった。“王”とあがめられ、“王”と恐れられていた。

 私のひと振りであらゆる生命いのちが死んだ。太陽はしずみ、海は割れ、また多くの生命いのちが魔にちた。


 それによって私は力を数多あまたの魔が眷属けんぞくにとこうべれてきた。

 息をつく間も無かった、いや、必要が無かった。私は常に前を見ていた。その背を、玉座に預けたことなど一度も無かった。


 …勇者、…と名乗る者が現れた。強さは羽虫はむし以下だったけれど、みょうに熱い奴だった。


 勇者――アレンは何度も何度も私の前へやって来た。

 私がアイツにすきを見せた事など一度だって無かったが、…あきらめの悪い、愚かな奴だった。


 …………ヒトの命は有限ゆうげんであると気付いた時には、もう。アレンが来なくなって数百年が経っていた。


(嬉しそうに)

 しかし奴はまた現れた。

 アレンという名では無かったけれど、たましいが同じだった。私がたがえるはずも無い。


 ある時は魔術師。ある時は武闘家ぶとうかまたある時は弓使い。

 アレンの魂は幾度いくども“ウマレカワリ”をして、私の元へ現れた。…奴は何も覚えていなかったがね。


 だけれど、数百年経っても、数千年経っても、私の強さは変わらなかったからな。

 どのアレンも、私に過擦かすきず一つ付けられなかった。


 …だけれど、楽しかったよ。

 私を恐れる者ばかりだった。私を崇める者ばかりだった。

 だから、私を倒さんといどんでくる存在の、何と嬉しかったことよ。


 アレンを待つ日々だけが、このながい時の中でのやしだった。




 …はは、これが、“魔王”と恐れられた女の末路まつろよ。


 さあ、もう充分じゅうぶん

 これ以上、私にかまう理由もないだろう。





 …………次の“ウマレカワリ”では、もう…私にしばられる必要はないのだからな。












STORY END.

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