女性用【語り部千輪〜蜉蝣編〜】
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千輪
[あらすじ]《2分程度》
語り部千輪は長寿と言われる九尾と人間のハーフである。遥か昔の世代から語り部をしていた彼女は、今日も世界のどこかで聞きかじった話を聞かせ渡るのだった―――。
【千輪】
余の語りは長く億劫なり。
それでも良いと囀る小鳥達はどうぞ余の腕に止まり、羽を休ませよう――。
…なんて。身構える必要はないさ。ただ、今日は少し機嫌が良くない。
なに、名付けた烏に噛みつかれただけの事よ。
まあ、そんな余の話は置いといて、今日も簡単に語りましょう。
皆は蜉蝣と呼ばれ畏れられた、血腥い傭兵をご存知だろうか。
余も一度だけ、その傭兵に会った事があるのだけどな。
その蜉蝣、生き血を啜るを生き甲斐とす。なんて言われている割には友好的な? 今でいう、“ふれんどりー”な奴だったよ。
余を千輪と知っているようで、好きな語り部は他の……影函だったか。
…ん? 嗚呼、もう死んでいるさ。何せ今の古株が酸いも甘いも知らぬ頃の重鎮だからな。
まあ、そんな話もまた何れ。
その蜉蝣は、何ともまぁ喧しい奴だったよ。酒が苦いだの、相手が弱いだの、好いた奴が依頼の対象だっただの。
ああもう、思い出すだけで耳の側が五月蝿くて仕方ない。
だというのに、いざ戦の場へ踊り出れば、それはまるで…そう、陽炎の如し。
俺は此処だ、いや後ろだ、あらよっと隣だったかな、とね。
気が付けば周りは血の海で、そこに蜉蝣が一人。隠れん坊をしていただけだっていうのに、また皆眠っちまったと笑っていたよ。
…はは、余も大概だと思っていたけれど、世間には意味の分からないくらいイカれた奴が居るのだと、思い知ったなぁ。
そんな蜉蝣の名を聞かなくなって、嗚呼もう…こんなに経つのか。早いもんだ、人の世というものは。
もう少し、ゆっくり生きる事は出来ないものかねぇ。
くふふ、なんてな。
さて、余はそろそろ語りを閉じようか。噛み付いて逃げた烏を追って、説教の一つでもしてやるとするさ。
そいじゃあ、またどっかで。
STORY END.