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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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146/197

女性用【死人思考】

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 本を読む女性

[あらすじ]《2分程度》

 「お前がその思考に(いた)った理由は安易(あんい)に想像がつく」と女性は本から顔も上げないでそう言った。どういう意味かと(たず)ねれば女性は更にこう言った―――。







【本を読む女性】

 悪い意味ではないさ。ただ、お前の思考は私にとって簡単なものだ、と言う話だ。


 そうだな、少し頭を冷やしてやろう。

 私の言葉はどうやら、他人に誤解を与えやすいらしい。


 ――お前の考えは私とは真逆なのだ。

 だけれど、それはお前と私が敵という意味ではない。イコールとして繋がることはない。


 私も一昔前まではお前と同じ思考だったよ。

 アレがああなれば、コチラはコウするしかないのだから、コウいう事だろうと。

 答えをみちびいて、更に考えあぐねるのに、結局自分が納得できるのは最初に考え出た思考なのだから、馬鹿は救えない。


 いや、お前を馬鹿だとは言ってない。

 言葉をつらねているとやはり勘違いされてしまうのだな。


 例えば、そうだな…。


 人が死んでいたとする。目の前でだ。

 誰が犯人かも分からん状態で、近くにいる、よくも知らない誰かが、血にまみれた格好で突っ立っている。


 お前はそれを見て、『ああ、犯人はコイツなんだ』と思う訳だ。


 “違うのか”って? 違わないかもしれないし、違うかもしれない。


 だが、そういうのは話を聞いてみないと分からないだろう。目に見える事が全てではないのだから。


 ……はあ。…だから言ってるだろう。お前が馬鹿だとか、そういう話ではないのだ。


 可能性の話だよ、無限に広がるナレッジの世界だ。


(少し恥ずかしそうに)

 …………ああ、いや、気にしないでくれ。


 ともかくだ。

 先に結論を出すな、思考を止めるな、それはお前の印象すらそこで止めてしまう。

 そんな事になってしまったら、あまりに、勿体もったいないだろう。


 さあ、もう分かったな。

 もう一度、先の問題について考えてみなさい。私と同じ答えになったら、…ふふ、めてやるよ。












STORY END.

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