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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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145/196

男女兼用【しょっぱい温度】

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 ♂0:♀0:不問1

 疲れきった声

[あらすじ]《4分程度》

 こちらを非難ひなんする声より、ずっと痛かった。よく知りもしないクセに、なんて。きたりなセリフを吐いてしまえるくらいには、恥も何もかも無くなっていた―――。










【疲れきった声】


 逃げていいって、何処どこへですか。頼っていいって、誰をですか。投げ出していいって、何をですか。


 逃げる道は何処ですか、頼る相手は誰ですか、投げ出した先には何があるんですか。


 貴方へ逃げていいんですか、貴方を頼っていいんですか、貴方へ投げつけていいんですか。


 …………ほら、何も言わない。


(イラついたように)

 結局、口だけ出すんですよ。“貴方達”は。同情して、正義面せいぎづらして、ボク達の事を『可哀想』って言うんですよ!


 努力っ…しましたよ…っ! 勉強もした、体力づくりもしたし、身嗜みだしなみにも気を遣いました…!


 それでもまらないんですよ、嘲笑ちょうしょうが。

 それでもまないんですよ、ボクらを指差す大人達の小さな声が。


 ……。


 『死は救済きゅうさい』だと、何かで読みました。

 巫山戯ふざけたシスターがそんな事を言って、殺人を正当化しているマンガか何かだったかな…。

 使い回された、きたりな、だけれどその言葉の意味は正しく理解されていない。


 でも、ボクらは知っています。

 死は…救いなんですよ。のがれられるんです、今のこの状況から。


 生きているだけで、後ろ指を差されて、笑われるこの状況から、げ出せるんです。


あきらめたように笑って)

 …………………。


 逃げていいと、みんな言います。

 頼っていいと、みんな言うんです。


 でもその先に、みんなは居ないんです。


 自分の所へ逃げて来ないように。

 自分の事を頼って来ないように。

 姿の見えない所から、中身のない甘い言葉を落としていく。


 それを拾っても、落とした人はもう何処にも居ないのに。




 ボクらは誰かにしがみつきたくて、すがりたくて、それでも目の前の人達の顔をくもらせたくなかった。


 ボクらが我慢すれば、ボクらが耐えればって…無理矢理、自分を納得させてた。


 だけど。

 …痛かった、つらかった、苦しかった。

 …逃げたくて、逃げたくて、たまらなかった。


 どうしてボクらが、って。

 何も悪い事なんてしてないのに、って。



 ……。



 本当は…、『逃げていい』って。『頼っていい』って。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ心が軽くなってたんですよ。


 だけれど、ボクらは色んな事を考えてしまって…。

 逃げられた先の事…逃げられなかった時の事…頼った先で拒絶きょぜつされたら…頼った人を悩ませたり、困らせたりしちゃったらって…。


(今にも泣きそうな声で)

 ………ごめんなさい…手を差し伸べられても、ボクらはその手を上手くつかめないかもしれません。

 たくさん悩んでしまうから、待たせてしまうかもしれません。


 ………“それでも、いい”?


 …は、…ははは…。ぁぁ、…はは…っ…




(涙声で)


 …あの、…手を、にぎっていてくれませんか。

 …ありがとうございます…、…ああ、温かいなぁ………。











STORY END.

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