表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
143/196

男性用【分岐を違える】

台本タイトルは【ぶんきをたがえる】と読みます。


台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀0:不問0

 思い出す男

[あらすじ]《2分程度》

 馬鹿な人でしたね…。自嘲じちょうも混ぜてそう言った男は目を伏せて、だけれど悲しげな空気など感じさせないままに、おぼれていたんです、と微笑んだ―――。








【思い出す男】

 お人好しでしたよ、こんな裏社会で生きていくには、苦労しそうなほどに。


 とある男が、金に困っているのだとむせび泣けば、ふところにある数少ない金を全て分け与えてしまうんです。


 とある女が、子供に食べさせてやれないのだとすがりつけば、盗られないようにと、忍ばせていたはずのパンを差し上げてしまうんです。


 例え、その困窮こんきゅういつわりだとしても、彼女は困っている人は居なかったんですね、良かったです、と笑うんです。


 ……偽善ぎぜんです。

 彼女がしていたのは、誰の心も幸せにしない行為です。

 簡単に聖女せいじょと呼ばれてしまうような、非常に鬱陶うっとうしいエゴです。


 だというのに、私は彼女に手を差し伸べて共に歩く道を提示ていじしました。

 貴女あなたが来ないと困ります。そんな風に言えば、彼女が何物なにものも差し置いて着いてきてくれると分かっていました。


 案の定。とでも言いますか。

 ふふ、そう差し向けたというのに、変な言い方ですね。


 彼女が私と共に行くようになって、いくつかの事が変わりました。

 最も変わった点は、彼女に声を掛ける物乞ものごいが居なくなりました。…えぇ、全く。何かしたか、ですって?


(少し笑って)

 まさか。私は善良ぜんりょうな一般人ですから。野蛮やばんな事は御免ごめんですよ。


 まあ、そんな風に良い事もありましたけれど、悪い事もたくさんありましたよ。

 だけれどその度に彼女が笑うんですよ。大丈夫です、と。誰もケガしなくてよかった、と。


 少しね、平和ボケしていたんですよ。…ええ、きっと。


 ……………………。



 彼女が、最期さいごに言ったんです。


 “アナタが、ケガをしなくて良かった”




 …………お人好しですよ。

 ……ほんっとうに…、イヤに、なるくらい……。












STORY END.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ