女性用【キツネ様の言う通り】
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狐のような顔の女
[あらすじ]《3分半程度》
よお、そこの。声を掛けられて振り向くと、狐をそのまま人間にしたような、不気味な女が立っていた。女は笑みを深くして、話をしよう、と言った―――。
【狐のような顔の女】
よお、そこの。そう、御前だ、御前。もうちっと、近う寄らんか。なあに、取って食いやしないさ。
今の時代を生きる人間は、黴臭くて堪らんからな。
少し、アテシと話をしよう。
何を、とな? くだらない与太話でも如何か。
それとも身の毛もよだつ怪談なんてのも、一興かのう。
嗚呼。…道を急くならば、無理にとは言わん。殺すなどと馬鹿な真似もせん。
何だというのだ、信用が無いのぉ。
まあ、良いわ。…何でも良い。
御前の話でも、御前の知っている話でも良い。
アテシを満足させてみよ。
*
ぬわっはっはっはっはっ! ヒィーッイッヒッヒッヒッ!
ヒヒッ、御前、何じゃ、話、せるでは、ヒッ、ないか…!
しかも、その様な、ヒヒッ、面白おかしい話、何処に仕舞い込んでいたのだ…! ヒヒッ、あハッ、駄目じゃ、腹が馬鹿になる…! くひひっ!
ヒヒッ、御前…、それは実話か…? ひひっ、あはっ、そ、そうか! 実話か! あははっ、止せっ、これ以上は…! ひひっ、あははははははっ!
くひっ、それで? ふふ、続きは無いのか?
嗚呼。…これ以上にないほど腹は捩れたが、イマイチのぉ、オチが弱い。
何? オチはこれから?
『私が死んで話は完結』? 何じゃ、途端につまらん。笑いも冷める勢いだな。
死は飾りではないぞ。ましてや物語の終焉に持ってくるには、あまりに浅慮で愚かだな。
途中までは面白かったではないか、やれ“シュウトメ”とやらが、『ヨメは仕事をするな、家庭に入って“ダンナ”の世話をすべき』だの。
そうしたら“ダンナ”とやらが、『俺の飯が用意されていない』と喚くだの。
死ぬ以外の終わり方だと? そうだなぁ……、アテシならば、
御前の人生の方針に口出ししてくる“シュウトメ”も、
自分の飯もまともに用意出来ない、御子様な“ダンナ”も、
投げ棄てちまうかもしれないね。
はは、そんな輩は、アテシには『必要ない』からのぉ。
自らを殺して、無理に本を閉じるなど。
そのような終わり方、全くもって面白くない。
御前の人生なのだろう?
御前の自由を、御前の感情を、押さえ付けて、自分達の言いなりにしようとする人間共の為に生きるのも、死ぬのも、嗚呼。馬鹿らしい。
………そうだろう? ならば、やる事は分かるな?
こんな夜更けの屋上で、下ばっかり見つめていないで。もっと先を見据えてみな。
ふふふ、次の機会があれば、もっとくだらなくて楽しい話を聞かせておくれな。
STORY END.