男女兼用【パーソナリティエンド】
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誰かの零した何か
[あらすじ]《2分半程度》
誰かが言った、それは依存だと。誰かは否定した、それは違うと。誰かは問うた、それは何だと。誰かは答える、これは愛情だ、と――。
【誰かの零した何か】
友人が消えた。
何の前触れもなく、だ。昨日まで、いや、つい数時間前まで楽しく話してた友人が、だ。
そんな事、信じない。
そんな事、有り得ない。
頭の中で現実の否定をしてみても、目の前にあるのは真っ黒な思考。何も無い、誰も居ない、…これは、何だ。
震える手で電話を掛けてみる。
繋がらない、繋がらない、ああ、繋がらない。
右往左往する目が友人の姿を探す。
見つからない、見つからない、…ああっ…!! 見つからない…っっ!!
…………………。
今思えば、私はアイツの事を何も知らなかったのか、と自嘲した。
どこに住んでいるだとか、何が好きだとか、嫌いだとか。
アイツの誕生日を祝った。何度も何度も。
アイツが誰かと喧嘩をした時、話を聞いた。
アイツが年下と知って、少しだけ安堵した事があった。
毎日のように話した。くだらない事を、しょうもない事を、毎日。
充実していた。楽しかった。
アイツに話し掛ければ、必ず振り返って笑ってくれたから。
だけれど、よく考えたら…アイツから、何か聞かれた事なんて無かったな…。
…………………………。
あれから数ヶ月。
元友人の背中を見た。
私の知らない誰かと楽しそうに話をしていた。割り込む事も出来たけれど、私はそっと目を逸らした。
ミュートボタンを押して、アプリを閉じる。
ふぅ、とため息を吐いて、また同じアプリを開いた。
ピコン、と音が鳴って新しく出来た友人のメッセージを表示する。
見て見て〜! と楽しそうな文字と共に何かの画像が添付されているらしい。後で確認しよう。
…あの日突然、アカウントを消した元友人はよく似た名前とIDで転生していたらしい。
共通の友人だった奴が、親切にも、そう教えてくれたけれど、私は前のように元友人と接する事など出来なくなっていた。
元友人が私を疎ましく思っていたかもしれない、なんていう、事実に近い妄想が私の頭から離れないのだ。
それに、今は私にも新しい友人が居る。
一方的ではない、有難い存在が。
………、もう、忘れてしまおう。
私はミュートリストの元友人のアカウントを表示して、画面を操作した。
『このアカウントをブロックしますか?』
私はなんの感情もなく、「はい」を押した。
STORY END.