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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
138/196

男女兼用【パーソナリティエンド】

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 ♂0:♀0:不問1

 誰かの零した何か

[あらすじ]《2分半程度》

 誰かが言った、それは依存(いぞん)だと。誰かは否定した、それは違うと。誰かは()うた、それは何だと。誰かは答える、これは愛情だ、と――。








【誰かの零した何か】

 友人が消えた。



 何の前触(まえぶ)れもなく、だ。昨日まで、いや、つい数時間前まで楽しく話してた友人が、だ。


 そんな事、信じない。

 そんな事、有り得ない。


 頭の中で現実の否定をしてみても、目の前にあるのは真っ黒な思考。何も無い、誰も居ない、…これは、何だ。


 震える手で電話を掛けてみる。

 (つな)がらない、繋がらない、ああ、繋がらない。


 右往(うおう)左往(さおう)する目が友人の姿を探す。

 見つからない、見つからない、…ああっ…!! 見つからない…っっ!!


 …………………。


 今思えば、私はアイツの事を何も知らなかったのか、と自嘲(じちょう)した。

 どこに住んでいるだとか、何が好きだとか、嫌いだとか。


 アイツの誕生日を祝った。何度も何度も。

 アイツが誰かと喧嘩をした時、話を聞いた。

 アイツが年下と知って、少しだけ安堵(あんど)した事があった。


 毎日のように話した。くだらない事を、しょうもない事を、毎日。


 充実(じゅうじつ)していた。楽しかった。

 アイツに話し掛ければ、必ず振り返って笑ってくれたから。


 だけれど、よく考えたら…アイツから、何か聞かれた事なんて無かったな…。


 …………………………。


 あれから数ヶ月。

 元友人の背中を見た。


 私の知らない誰かと楽しそうに話をしていた。割り込む事も出来たけれど、私はそっと目を()らした。


 ミュートボタンを押して、アプリを閉じる。


 ふぅ、とため息を吐いて、また同じアプリを開いた。


 ピコン、と音が鳴って新しく出来た友人のメッセージを表示する。

 見て見て〜! と楽しそうな文字と共に何かの画像が添付(てんぷ)されているらしい。後で確認しよう。


 …あの日突然、アカウントを消した元友人はよく似た名前とIDで転生していたらしい。

 共通の友人だった奴が、親切にも、そう教えてくれたけれど、私は前のように元友人と接する事など出来なくなっていた。


 元友人が私を(うと)ましく思っていたかもしれない、なんていう、事実に近い妄想が私の頭から離れないのだ。


 それに、今は私にも新しい友人が居る。

 一方的ではない、有難(ありがた)い存在が。


 ………、もう、忘れてしまおう。



 私はミュートリストの元友人のアカウントを表示して、画面を操作(そうさ)した。


『このアカウントをブロックしますか?』


 私はなんの感情もなく、「はい」を押した。









STORY END.

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