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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
137/196

女性用【貴方がそう決めたならば】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂0:♀1:不問0


 シュリーナ・フォン・アダテール

公爵(こうしゃく)令嬢(れいじょう)。第一王子の婚約者。真面目で慈悲(じひ)深い彼女への断罪(だんざい)は彼女を知る者が目を(みは)る程に予想外だったらしい〉


[あらすじ]《4分程度》

 「お前を国外(こくがい)追放(ついほう)とする!」

 声高らかにそう宣言した婚約者の言葉にシュリーナはドレスを少しだけ強く掴む。だけれど、表情は変えず、いつもと同じような声色(こわいろ)で切り返した――。









【シュリーナ・フォン・アダテール】


 ミクリオ殿下(でんか)。それが貴方の決断ならば、従いましょう。

 ですが、いくつか訂正ていせいと意見を申しても(よろ)しいでしょうか。


 まさか、この国の第一王子ともなる御方(おかた)が相手の言い分も聞かず、臣下しんかの意見にも取り合わず、独断で自分の婚約者を国外追放などと、馬鹿げた事は(おっしゃ)いませんよね?


 あら、良かった。それでこそ、ワタクシの知っている…、ワタクシが好きだった殿下ですわ。


 ではまず、そちらにいらっしゃるウィラー男爵様のご令嬢、マリアンヌ・ウィラー様への『嫌がらせ』の件ですが、全くもって身に覚えのないことでございます。


 従者じゅうしゃや取り巻きにやらせた? いやですわ、殿下。

 いくら婚約者になってから一度もワタクシの家へ来ない殿下でも、ワタクシが従者をこれ()よがしに(はべ)らす事や使う事を苦手にしているのは……知っていますよねぇ?


 それに、“取り巻き”とはどなたの事を仰ってますの? ワタクシにはそのような存在は居ませんわ。一体誰を、そうだと、勘違(かんちが)いなさっているのです?


 フラミー令嬢やメリナ令嬢、ハーニャ令嬢……?


(発言の意図(いと)に気付いて怒りを(にじ)ませ、)

 ……っ! 殿下! 今すぐ発言を撤回(てっかい)して下さいまし! 彼女達は間違ってもワタクシの取り巻きなどではございませんわ!


 彼女達は、ワタクシの大切な友人です。

 この国の第一王子で()らせられるミクリオ殿下の婚約者。そんな立場のワタクシに遠慮(えんりょ)すること無く、対等な関係でいてくれる数少ない、大切な、本当に大切な友人なのです。


(冷静になって)

 …発言の撤回、感謝致します。


 ワタクシはマリアンヌさんへ嫌がらせなど行っておりません。先程殿下が仰られた、教科書を破る、水を掛ける、大人数で(たか)って理不尽(りふじん)に責め立てる……なんて。

 そのような幼稚(ようち)な事をしているヒマなどないのですよ。


 ワタクシは貴方様の婚約者ですもの。


 王族としての()()いやルールを学ばなければいけません。

 パーティーのご来賓(らいひん)の名前を覚え、その方の国の特徴や特産を覚え、その方に失礼のないように出迎(でむか)えなければ。

 ああ、王妃(おうひ)様のお茶会にも出席して、…ああ、ダンスも所作(しょさ)も完璧にして、……。


 ワタクシ、他人の学園生活の邪魔が出来るほど、優秀ではありませんの。何もかも覚えるのが遅くて、教えてくださる先生方にはいつも迷惑ばかり…。

 貴方様は、知らなかったでしょう?


 貴方様の前では、常に微笑みを()やさない、毅然(きぜん)とした婚約者でいようと努力しましたもの。

 たくさん、…ったくさん…! 貴方様の隣で、笑えるように、努力を…しましたものっ…!


(声が震えないようにして)

 だから、(おく)り物の一つもせず、お出掛けの一つも誘わず、事務的にエスコートをこなしていらっしゃった貴方様は、…気付かなかったでしょう?


 ……、マリアンヌさん、そのカチューシャ。とっても可愛らしくて、貴方の桃色の髪によく似合っていてよ。

 殿下からの贈り物ですわね。…後生(ごしょう)大事になさって下さいな。


 ――殿下。


 もう、良いですわ。

 いくら否定しても、いくら望んでも、貴方様の心にワタクシの声は届かない。

 だから、もう良いのです。


(独り言のように)

 …ああ、だけれど不思議ね。


 公衆(こうしゅう)面前(めんぜん)(いわ)れの無い罪を(さば)かれても、

 婚約者でもない女性を、はしたなく(はべ)らせていても、


 まだ、こんなに好きなのね。

 ……なんて、諦めの悪い女…。ワタクシの方が…はしたなくて、本当…嫌になるわ。













STORY END.

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