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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
136/196

男性用【語り部影函〜魔女編〜】

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 影函

[あらすじ]《3分程度》

 (かた)()影函(ゑゐかん)()ゐを知らぬ。魔女と呼ばれ(おそ)れられる者からの呪ゐを受けた彼は、死ぬ(まで)若く()り続けたとゐう―――。









【影函】

 よし、始めるとしようか! ボクは影函(ゑゐかん)。語り部やって、恐らくは四十年ほど経ってるかな。


(困惑する客に気付いて)

 ん? ああ、ボクの見た目について? まあ所謂(いわゆる)少年って感じだね。これについては……あ、そうだ。今日はこれについて語ってしまおう。


 何だかんだこの話は…嗚呼(ああ)、昔やったっけ。(おぼろ)に怒られた奴だ。あんな地であんな醜女(バカ)の話をするんじゃね〜…! って。はは、懐かしいなぁ。


 …っあ、話が()れてしまったね。それじゃあ、老いを感じるヒマもなく、有意義(ゆういぎ)な時を過ごそうか。



 その魔女はゴーシェの森に住んでいた、悪戯(いたずら)好きの(おろ)かな女だって有名でね。まあ、悪戯って可愛いもんじゃなかったけれど。


 悪戯って魔女が自称してるだけで、中身はヒドイもんだったよ。

 家の屋根を吹き飛ばしたり、飼われている犬を勝手に魔物のエサにしたり、魔物を人間に変えて町中で突然変化(へんげ)を解いたり…。


 挙げていくとキリが無いほどにヒドイものばかりだったんだけど、誰も魔女になんて手出しは出来ない。

 …だってそんな魔女に手出しなんてしたら、どんな報復(いたずら)が返ってくるか分かったもんじゃないでしょ?


 屋根を吹き飛ばされた家の住民がずぶ()れになってるのを見て、指を差して。

 腹を食いちぎられた犬の死体を見て、泣き(わめ)いている飼い主の子供を見て、腹を抱えて。

 魔物に引き()かれる町の人間を見て、涙が(こぼ)れる程に笑い転げるような醜女(バカ)だもの。


 そんな、(まさ)しく魔女と呼ぶに相応(ふさわ)しい女にボクが掛けられた呪い――いや、これも彼女にとっては悪戯だったのかもしれないけれど。


 ゴーシェの森に、ほど近い町には魔女の悪戯に疲弊(ひへい)する人達が居た。ボクはそこで魔女の愚行(ぐこう)を聞いて(いきどお)ったよ。

 当時、(よわい)十三だったボクを優しく受け入れてくれた町の人達になんて事をするんだって。


 でもほら、まだ子供だったし。憤った所でボクには何も出来ないんだけどね。

 そうしたら、町を出る前日だったかな。


 「魔女(かのじょ)」が来たんだ――。


 その日も語りを終えて、お客からの金を数えてそろそろ片付けに入ろうと思ってた目の前に影が入ってね。


 顔を上げると真っ黒な何かがニヤリと笑った気がしたんだ。そうしたら、「  (魔女)」が言った。


 「今日は、お前にしよう」


(大きなため息を吐いて)

 ……。


 あれから四十年くらい経つけど、ボクの体はずっとあの頃のまま。


自嘲(じちょう)して)

 ……大っ嫌いなあの頃のままなんだ。


 まあ、これが。

 ボクに呪いを掛けた、人になりきれない可哀想で愚かな魔女の話。


 さて、人生のほんの(わず)かな時間を(ささ)げてくれてありがとう。ボクはこの辺で失礼するよ。

 どこかで会えたら声掛けて。それじゃあね。






STORY END.

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