男女兼用【とある探偵の見解⑤】
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気怠げな自称天才
[あらすじ]《2分半程度》
あらゆる未解決事件。それらを片すプロフェッショナルが居た。自分は天才だと自称するあの探偵はパチリを指を鳴らして「夢の時間を終わりにしよう」と告げた―――。
【気怠げな自称天才】
こちらの見解はこうだ。
恐らく、貴方――早乙女 夏彦さんはメサイア・コンプレックスなんだろうね。
ありゃ。これも分かんない?
人を助けずにはいられない…まあ、そんなビョーキ。
貴方は自分を救済者だと。それこそドラマで見るような人情深い優しげな刑事だと思い込んでる。
自分に自信が無いから人を助けて己を保とうとしてるんだって。
こういうのって専門外だから曖昧でも許してくれよ。…まあ、自分自身の事だから貴方の方が詳しいだろうけど。
証拠? …証拠というか、気付くキッカケは少なからずあったよ。
ティモフィリア。
クレプトマニア。
この二件の事件はどちらも殺人だったね。
そしてそのどちらも異常性癖者の犯行…だったはず。
恐らく。彼らはきっと、貴方の救済の対象だったんじゃないかな。
この箱の世界じゃなく、現実の、あの。生きにくい世界での話ね。
財産を持つ人間を犯罪的に好きになってしまうとか。物を盗む快感がクセになってしまうとか。
貴方はそういうちょっと面倒な類の人間を真っ当に生きれるように助けて“あげる”事が何よりもの生き甲斐だったんだね。
それは彼らの為ではなく、自分が救済者になる為の。
……。
そして、恐らく、きっと。
彼らも現実の世界で罪を犯した。殺人という。言い逃れの出来ない冒涜的な罪。
そのせいで貴方は彼らを救えなかったと思ってしまった。そのせいで貴方は救済者でなくなりそうになっちゃったんだろう。
ならば。と貴方は考えた。
自分を救済者でなくさせた彼らが居なくなれば、自分はまた救済者に戻れる、なんて。
だから貴方は箱の世界で彼らを罰したんだ。正義の下で彼らを…救済して“あげた”んだ。
…………、
有り得ない? 信じられない?
どうしてそんなものがキッカケになり得るのかって? 簡単な事だ。…その二件だけだったんだよ。貴方の持ってきた事件の中で犯人が判明したのは。
ここは“貴方の”箱の世界。
貴方の情報だけが詰まったこの世界で、貴方以外の誰かの情報が明確に分かるだなんて。
ふふ、それこそ。有り得ない事だからな。
さあ、早乙女 夏彦さん。
―――――夢の時間を終わりにしよう。
STORY END.




