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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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118/196

男性用【ノイズが鳴く】

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 ♂1︰♀0︰不問0

 画面に映る男

[あらすじ]《3分半程度》

 一通のビデオレターが送られてきた。再生した、時折(ときおり)ノイズが入る画面には八年前から行方(ゆくえ)不明(ふめい)の親友が映し出されていた―――。






【画面に映る男】

 今回で、800回目だ。


 こんな膨大(ぼうだい)な数を律儀(りちぎ)に数えるなんて、オレはお前の言う通り真面目(まじめ)だったんだな。


 …気はもう(くる)ってるさ。大体18回目くらいだったか。自分の首を()き切ろうとしたんだがな。どうも度胸(どきょう)が足りなくて、痛いだけだったよ。


 でもな、「昨日」に戻ったら首の(あと)も綺麗さっぱり消えていて。

 何だかその頃になると、(みょう)に落ち着いてきてな。

 「昨日」のお前との会話を少しだけ楽しむようになったんだ。


 確かあれは、421回目だったか、422回目だったか。だいぶ記憶も曖昧(あいまい)だな…、時間が無い(あかし)か。急がなければ。


 …ああ、そうだ。422回目の「昨日」のお前はいつもと違ったんだよな。その時のお前はオレを見て信じられないという顔をしたんだ。

 そうしてお前は言ったな。


 「どうして()えられるんだ」って。


 …信じたくなかったよ。だってそんな事を言うって事は、オレがこうやってずっと「昨日」を()り返しているのは、お前のせいって事になる。お前が仕組(しく)んだのか、間接(かんせつ)(てき)にお前が関わっているのかは知れないが、…そういう事だろう?


 だから信じたくなくて、それから何百回も「昨日」を過ごしたよ。でも、422回目のお前は二度と現れなかった。


 ……、そして今回で800回目だ。

 次の「昨日」のお前に会う前にオレはこの世界を終わらせるよ。


 何でかって?


 今回の「昨日」のお前は、死ななかったんだ。初めて、笑って手を振れたよ。

 だから、その記憶で終わりたいんだ。


 何度、お前が死んだろう。

 何度、お前を殺したろう。


 幾度(いくど)もお前が現れて。

 幾度も「昨日」を繰り返した。


 …………。


 次の「昨日」で終わったオレが、どうなってしまうのか分からないが、例え元の世界に戻れたとして。

 お前に会いたいとは思わないさ。


 お前に会ってしまったら、お前を殺してしまいそうだからな。


 いやな、お前を嫌いになったとかそういう事ではないのさ。この頭のおかしい「昨日」の繰り返しにお前が関わっているのだとしても、復讐(ふくしゅう)してやりたいとかそういうのではないのさ。


 ただな、ここでは普通だったんだ。

 お前が死ぬ事が。お前を殺す事が。


 だからその普通に狂ってしまえた自分がお前に会ってしまったら。


 ……………。


 …なあ。親友。

 お前が何を思ってこんな事をオレにしたのか…すまないが、心当たりがないのだ。だから、考えない事にする。信じない事にする。


 オレはずっと、お前の事を親友と思う事にする。…さよならだ、親友。……お前は、最高の友だ………。










STORY END.

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