男女兼用【この世で一番】
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心底嫌そうな人
[あらすじ]《２分半程度》
夢があった。それを叶えた。邪魔する声もあった、諦めてしまおうかなんて邪念もあった。それらを乗り越えてここにいる私がそんなに羨ましいか―――。
【心底嫌そうな人】
“それ”、嫌いだな。
「凄いね」って何がだ。夢を叶えた事か？ それとも夢を叶えるために貴方たちの言う“努力”をしてきた事か？
「頑張ったんだね」って何だ。
「自分には出来ない」って何だ。
「努力が実った」って何だ。
（大きく息を吸って）
………。
煩いっ！！！ ああっ、くそ！ 虫唾が走る！ 何だそれ、何だそれ、何だそれっ！！
私は凄くない！ 頑張ってもない！ 私は私の夢を叶えるために、私がやれる範囲でやれる事をして、出来ない事を出来る様にしただけだっ。
自分には出来ない…？ しようともしてないくせに！ しない理由ばかりグダグダグダグダ考えてるだけの奴らが！ …私が、私のために叶えた夢を手にした途端、アリのように群がってきて…！
努力が実っただ…？ 喧しい！
貴方たちにそんな事を薄ら笑いながら言われるくらいならこんなもの努力でもなんでもない！
私が夢を叶えるためにやった事を、何もしないで惰性的に生きている貴方たちに讃えられたくなんかない！
貴方たちがそうやって言い訳じみた事をつらつらと並べ立てている間に私が必死に足掻いて、藻掻いて、そうしてやっとの思いで掴み取ったこの夢を、貴方たちなんかが！ “努力”なんて言葉で簡単にまとめてくれるな！
（少し息を吐いて落ち着きを見せ）
私の事を思うなら、もうやめてくれないか。
…心配しなくとも。
私のしてきた事は私が讃えるさ。他でもない私が、私のために夢を叶えたのだから。
私は、…貴方たちに羨ましがられるために生きてはいないのだ。
私のしてきた事は“努力”でもなんでもない。少しだけ、大きく息を吸って吐いただけさ。…その途中で少し咳をして痰を吐いただけで。
私にとって、何一つ難しい事ではなかったよ。
……、
さあて、どうだろう。
貴方たちの夢への道がどれほど困難か、はたまた平坦かは知らないが、やれる事から始めてみればいいんじゃないか？
…それにすら、出来ない理由を探し出してしまうなら。一生そのままの方が幸せかもしれないけどな。
STORY END.
