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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
115/196

男性用【海融けの声】

声劇タイトルは

【うみどけのこえ】と読みます。



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※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀0:不問0

 不思議なお兄さん

[あらすじ]《4分半程度》

 僕は魔法が使えるんだ! あっさりとそう白状(はくじょう)してやった。だってそう言えば、大抵(たいてい)の人間は僕のことを『ヤバい奴』だと思って話なんか聞かなくなるからだ。だけどお前は何か、違ったんだよな―――。






【不思議なお兄さん】

 な、何? 話を聞きたい? 僕が言うのもなんだけど…お前、頭がおかしいんじゃないのか。


 ハッキリ聞こえたろう。


 僕は。魔法が。使えるんだ。って言ったんだぞ。

 冷やかしなら間に合ってるし、好奇心(こうきしん)すら(すで)鬱陶(うっとう)しいにまで(たっ)してる。


 な、な、な、…!! 魔法が使えるようになりたいから? ふはは、あははっ、はーっはっはっは!!


 お前、ぐふ、っお前…は、馬鹿、なのか…!? ひひ、そんなもの、土台(どだい)無理(むり)な話だ! 血を吐こうが汚物(おぶつ)()れ流そうが、素質(そしつ)が無ければ一生出来そうにもない芸当(げいとう)だぞっ!


 それを、お前のような()(さき)の短いただのジジイに出来るってのか! ははっ! 笑わせてくれる!

 ぐひひっ…、ひ、やっはっは…!


 はーっ…、こんなに笑ったのは久々だ。…それこそ何年振りだ。…ひひっ、嗚呼(ああ)、駄目だ。油断(ゆだん)(ほほ)(ゆる)む。ひひ、


 ……あ? 何だまだ居たのか。


 …。…だから土台無理な話だと言ったろう。馬鹿にした訳でも無く真実だ。ド素人(しろうと)にそんな真似(マネ)は……あ? 僕はいつから使えるのかって?


 そんなもの知るか。

 いつの間にか使えていたのだ。喜んでいる間に使い(こな)せていたのだ。

 それは別に僕が天才だったからじゃない。そういう事に時間を()ける程に閑人(ひまじん)だっただけなのだ。


 だからお前のようなジジイには最初から無理な話だ。死んでから天国でもそういう事に熱心(ねっしん)になれるというなら話は別だがな。


 …というか。

 お前はなぜ、魔法が使えるようになりたい? …は? 死んでしまいたい……? そんなもの勝手にそこらで野垂(のた)れ死んでしまえば良いだろう。


 僕には関係無…、いや、ジジイ。ちょっとよく見せろ。


(老人をじっと見つめ、声もなく驚く)

 …………。


 ……………お前、何者だ。

 何だ急に、ではない。悪いが、勝手に鑑定(かんてい)させてもらった。


 …お前、【元魔法使い】となっているぞ。…知らなかった? ああ、備考(びこう)(らん)に【記憶喪失】とあるな…。

 元、という事は今はただの死にたいジジイか。


 うぅん…。


 まあ。(いず)れにせよ、幸運だなジジイ。


 僕は今、お前に興味を持った。

 お前のその願いを叶えてやろう。


 ただなぁ、人殺しは何だかんだ気が引けるし、そんな魔法を使ってしまったら、この夢みたいな力は途端(とたん)に僕へ力を()すのを辞めてしまいそうだしな。


 ……、そうだ。

 ジジイ、消えてみないか。…この世界から。


 この世界の誰からの記憶からも無くなってしまうのだ。ジジイがここで生きていた事すら無いものになる。


 誰かの隣に居たであろうお前は消える。その誰かの隣に誰かが居た事実も消えるのだ。


 それはお前の言う、“死にたい”では無いかもしれないがな。…だが、これが今の僕に出来る、最大の魔法だ。


 僕? ああ、僕の記憶には残るだろうな。…だが、別にいいのさ。何処(どこ)かで会った耄碌(もうろく)ジジイの事なんて、いつか綺麗(きれい)さっぱり忘れてしまうだろうからな。


(ひと)(ごと)のように)

 ……いいのさ。

 僕もそこまで生きてしまったら、この世界に辟易(へきえき)してるだろうからさ。


 なぁに、ただの独り言だ。これから消えゆくやつが気にすることじゃない。


 これは、若者から老人への孝行(こうこう)ってやつだからな。有難(ありがた)く受け取るがいい。


 ……、では。さよならだ、……いつかの僕。











STORY END.

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