男性用【語り部鹿嬭〜異国編〜】
台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。
『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。
※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。
♂1:♀0:不問0
鹿嬭
[あらすじ]《2分半程度》
語り部鹿嬭は兄と共に異国より亡命してきた元貴族だ。現在《剣聖》と呼ばれる彼はこの地に骨を埋めるつもりである―――。
【鹿嬭】
さて。始めよう。
僕は鹿嬭。しがない語り部だ。
自身について語る事は少ない。剣を持つようになって、他人から天性だと言われようとも。僕は剣があまり好きではないからな。
さて、今日は僕の故郷の話でもしよう。
もう戻ることが無い故に、幼い記憶を探っての話になる。
最後までどうかよろしく頼む。
僕の故郷はこの大陸よりずっと北へ。
黒雲立ち込めるあの海域をもずっと越えて。
小さな小さな島国だ。この大陸の足元にも及ばぬような小さな島国は、未だ戦争で燃えているようだ。
小さな島国の小さな領土を、貪り食う事でしか生を感じられないような大陸だったからな。
声の細い噂でしかないが、変わる余地は最早無いのだろうな。
一端の領土を持っていた僕の家も、当たり前のように戦争に巻き込まれた。
僕はその戦争で父を、母を、幼い妹を、親類を喪った。
もう彼らがどんな顔をしていて、どんな声をしていて、彼らとどんな風に過ごしたのかも思い出せないな。
人より少し強い魔力を持っていた双子の兄と生き残ったが、案の定貴族という立場を剥奪された。
このままでは殺されると踏んだ兄は、僕を連れて亡命を謀った。
逃げ隠れる日々の中で人を殺したような気もする。…殺されかけた気もする。
運良く停泊していた商船に飛び乗って、追手を撒いた後、この大陸へやって来た。
もう四十も昔の事だ、語りのネタに出来るほどでは無かったな。
まあ、僕達がこの大陸へ来たのは必然だったんだろう。…そこで彼に出会ったことも含めて。
…すまない。時間のようだ。
そろそろ終わろう。次の時はもう少し興味深い話をするよう心掛けるよ。
STORY END.