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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
104/196

*男性用【語り部六嘉〜黒焼き編〜】

こちらの台本は声劇タイトル横の性別専用台本ですので男性(声)のみがご使用出来ます。ご理解とご協力をお願い申し上げます。



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『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂1:♀0:不問0

 六嘉

[あらすじ]《4分程度》

 “元男娼(だんしょう)”。そう言って語り始めた語り部の名は六嘉(ろっか)。もう引退したのだと笑う彼は(みょう)に色気のあるその(なり)老若(ろうにゃく)男女(なんにょ)魅了(みりょう)する―――。











【六嘉】

 は〜、()っついわねぇ。どうなってんのよ、この地方の温度。アテシったら思わず()ぎそうになっちゃったわよ。


 あら、失礼。じゃあそろそろ始めようかしら。準備はオーケー?


 アテシは語り部。語り部の六嘉(ろっか)よ。知らない? あ〜ら、じゃあこの際だから聞いてきなさいよ! (そん)なんてさせないからっ。


 アテシ、語り部やる前は男娼(だんしょう)だったんだけどねぇ。売られたのかって? 違うわよ、アテシがやりたくてやってたの。

 (やみ)が深めの職業だから、まあ薄暗(うすぐら)い事もよく見たし、何なら被害者だった事も加害者だった事もあるわね。


 あっはは〜! よく生きてたもんよ、ホント!


 そうね、じゃあ今日は界隈(かいわい)外でも代表的な()れ薬「イモリの黒焼(くろや)き」について話そうかしら。

 アンタ達の時間、ちょっとアテシにちょーだいなっ。


 アテシの元お客でね、安達(あだち)っていう金持ちの男が居たの。もう歳だからって自分はアテシの相手はしなかったけど、若い男を連れてきてはアテシと男が(から)むのを見る、物好きな老耄(おいぼれ)だったわ。


 話はそいつじゃなくて、そいつがその日、連れてきた明らか生息子(きむすこ)な男の方なの。会話も(ども)るし、見合(みあ)いかって話題の振り方しかしないし、いざ本番ってなったら着物の脱がせ方もぎこちないし。


 お生憎(あいにく)にも名前なんてとんと忘れちゃったのよね。でもよぉく覚えてる。

 触り方もへったくそな子だったけど、安達(あだち)(かわや)へと席を外した途端に目の色が変わったの。


 恐怖? 無かったわ、そんなの。

 経験もない若造(わかぞう)一人が興奮しきったところでアテシも男だもの。(ほそ)っこい受けしかやらない子達とも違うしね。


 ただ、…そうねえ。

 そいつが取り出したものには驚いたわ。


 そう、黒い粉。

 一目見て分かったわ、「イモリの黒焼き」だって。


 ()れ薬だとか振りかけた相手が自分を好きになるだとか色々言われてるけどね、結局は迷信(めいしん)よ、あんなの。

 何の根拠(こんきょ)も無し、アテシも何度か使われた事はあるけれど顔や身体が汚れただけで相手の事なんて微塵(みじん)も気にならなかったわ。


 まあ、生息子(きむすこ)な男がどうやってそんな高価なものを手に入れたかの答えなんて、…とっても最悪(すてき)なタイミングで席を外した耄碌(もうろく)なジジイしか無いんだけれどね。


 その後どうなったかって? やぁねえ、せっかちさん。話してあげるから待ちなさいよ。


 生息子(きむすこ)がそんな高価なものをおバカにも持ってきたんだからアテシも()もて()ししなきゃじゃない?

 だからちょっ〜〜とだけ気のあるフリをしてあげたら…


 …はぁぁあ…鼻血吹き出してぶっ倒れちゃったわよ。

 気が抜けるってこういう事を言うのね〜…。仕方ないから(わか)()を呼んで外へ放り出してもらったわよ。


 まあ、それが使い方も曖昧(あいまい)な 「イモリの黒焼き」を持ってきたおバカさんの末路(まつろ)かしら。


 アテシ、そこの陰間(かげま)茶屋(ちゃや)では結構有名な男娼(だんしょう)だったから、そこから追い出されたっていうのは安達(あだち)にとっても素敵(さいあく)なレッテルだったんでしょうね。


 え? そんな太客(ふときゃく)逃がしていいのかって? いいわよ、別に。安達(あだち)じゃなくってもイイ男なら沢山居たもの。

 何なら今だって、アテシが語り部になったなんて風の(うわさ)をコロッと信じて、金を(みつ)ぎに来る馬鹿も居るんだから。


 あら、そろそろ時間? じゃあ仕方ないわね。お開きにしようかしら。


 アンタ達の時間、有意義(ゆういぎ)に使わせてもらったわ。お礼は(めぐ)みに変えてちょうだい。アテシの(ため)を思うならね。


 それじゃあ、また会いましょう。

 今度はもっとアテシが輝ける場所で。












STORY END.

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