男性用【語り部梨網〜栗透編〜】
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梨網
[あらすじ]《3分半程度》
語り部梨網は西の辺境で生まれ育ち、僅か九つで語り部として世に旅立った。温和な語りで女性客を魅了する彼は今日も正座をして語り始めるのだった―――。
【梨網】
ほんなら今日も始めまひょか。
何や東の方でえらい大火事があった言うてたけど大丈夫やろか? 何でもとある魔術師と剣士が大暴れしたとか何とか――…まあ、死人は出てへんのやし、野暮な事は言うたいかんなぁ。
今日はどないしよ…、何語るんでもお嬢さんら喜んでくれるから。ちょっと自信過剰になりそうやわ。
…よし決めた。
今日は千年続く酒蔵、栗透について。
ゆっくり話すから何も慌てんでええんよ?
栗透言うんは一番有名な酒蔵やね。それぞれの時代の主が造る彼岸いう酒は栗透の顔なんよ。
ボクは特に六代目の彼岸が好きやったなぁ。今は八代目の彼岸が出始めて話題なっとるなあ。
六代目はもう現役を退いてお得意様と名のある中堅や古参にしか売ってくれんから、お客さんらが買うんやったら七代目か八代目からやなあ。
彼岸の他にも椿とか山茶花やとか…ふふ。そう、栗透が造るんは花酒。何や造り方は企業秘密やとか言うてたから詳しいは知らんけど、花の蜜と花弁を希少の高い魔物の体液と混ぜ込んで二年熟成させるんやて。
そんでその熟成させた基となる液に代々受け継いできたらしい酒を注いでまた二年熟成させる。
まあ、細かいトコは間違うとるやもしれんけど、大体はこんな感じらしいえ? ……ボク? ああ、酒には強い方やと思うけど…。職業柄というか、誰も見てへん時が少ないもんで飲んどる時間は短いんよ。
ほんでも彼岸はあんま飲んだことないわ。……友人と飲むて決めてたんやけど…もう居らへんしなぁ。何や大層な集まりん時に差し出された量しか飲めんようなってしもて…。
ふふ、そやけど彼岸だけやなくて栗透が造る花酒はどれも美味やし、エエもんばっかなんよ。
支店も結構出とるみたいやし、飲んだことない言う子は試してみ。…まあ、結構値は張るから気ぃ付けて。
栗透の模様は蜘蛛の腹部に彼岸の花。…よう覚えとき。
ほんなら、今日はここまでや。
聞いてくれてありがとう。
またゆっくり、どっかで会おうなあ。
STORY END.