13 戦いの終わり
「ここまで……みたいね」
ルドミラは空を見上げ、『光の王』が全滅したのを見届けると、深いため息をついた。
『光の王』とともに魔王軍と戦ったものの、魔王との戦いで大幅に神気が目減りしてしまったため、相手の連携に押し切られてしまった。
今の自分たちでは魔王軍どころか、魔軍長たちにさえ勝てない。
いや――、
「魔王軍の連携が思った以上だった……! 魔王だけじゃない、魔軍長たちは一つにまとまって戦っていた」
魔王の統率力によるものか、それとも――。
どちらにせよ、魔王軍はより手ごわくなったように感じる。
「引き上げましょう」
冷徹に決断を下した。
悔しさがこみ上げ、体の震えが止まらない。
「……嫌ですわ。わたくしは、弟の仇を取るためにここまで――なのに、こんな……」
首を振るフィオーレ。
「あたしだって無念だよ。でもね……」
ルドミラは彼女を抱きしめた。
「ここで立ち向かっても無駄死にするだけ」
「っ……!」
フィオーレは瞳を見開き、その目の淵から涙がこぼれ落ちる。
「生きていれば再起のチャンスはある」
シオンがなだめた。
「負けを受け入れよう。そして前に進もう」
「そうね。あたしたちはまだ終わっていない」
ルドミラが表情を引き締める。
「人は……成長していける。だからもっと強くなって、いつか必ず――」
魔王を、討つ。
だが、ルドミラの思惑は大きく外れていくことになる。
第三次勇者侵攻戦から、ほどなくして――。
「魔界と和平……!?」
「ああ、まだ内々の話だが、そういう動きが各国で出てきているらしい」
シオンが語った。
「あの魔王は……人間との戦いを望んでいない……?」
ルドミラは困惑していた。
正直、心のどこかで感じていた。
何度も戦った現魔王は、自分たちに対して手加減していた節がある。
本来、人間を殺すことをあまり望んでいないかのような――。
できるなら、戦いたくない。
そんな意志を感じ取ることもあった。
「もちろん全面的に信用することなんてできない。けれど俺は……しばらくは様子を見るのがいいと思う」
と、シオン。
「……そうね。あの魔王の思惑を測りながら」
けれど、気を緩めることはない。
勇者たちの戦いは終わらない。
もしも魔王が邪悪な本性を見せ、世界に襲い掛かってきたときは。
「あたしたち四天聖剣が奴らを討つ」
それまでは――しばらくの休戦だ。
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