2 『光の王』の軍団を掃討する
俺は三人が敗走した先をしばし見つめ、それから意識を他に切り替えた。
天軍最大戦力の一つは去ったとはいえ、まだ他にも手ごわい奴らは残っている。
さしあたっては『光の王』の軍団をなんとかしないとな。
「今のうちに残りの『光の王』を倒すぞ、ジュダ」
「ああ、やれるよ。私と君なら」
先ほどの俺の台詞を返し、微笑むジュダ。
「本当に頼もしい相棒だな」
「そして友……だろう?」
「いや、友だちと言われると……」
「えっ!? 私はとっくに友だちのつもりだったのに!?」
ジュダはショックを受けた様子だった。
「はは、冗談だよ」
俺は苦笑して、ふたたび周囲を見回した。
さあ、次は『光の王』たちを掃討するぞ。
俺たちは連携しながら大火力の魔法を撃ちまくった。
俺もジュダもメガ系の魔法を連打できる。
さらに二人の魔法を融合させ、さらに高威力の魔法を生み出すこともできる。
バーストメギドやルシファーズメギド――『メギド系』の魔法を、奴らが密集している場所に放ち、まとめて撃破。
散開した陣形を取っている連中はメガ系で追い込み、集まったところでふたたび『メギド系』で撃破。
といった感じで、どんどんと『光の王』の数を減らしていく。
と、そのときだった。
「あれは――」
天軍と勇者軍の動きが変わった。
力押しの中央突破ではなく、軍勢が三つに分かれる。
左右と中央。
それぞれが付かず離れずの距離を保ち、遠距離からの攻撃主体になった。
「持久戦に切り替えたか」
うなる俺。
「全軍を指揮して対抗しないとな。人間や天使たちの好きにはさせない」
さっそく、俺は各魔軍長に指令を出した。
『不死王』リーガルや『獣帝』ゼガートたちにはそれぞれ勇者軍と天軍の迎撃を。
『夢魔姫』フェリアは敵軍への精神攻撃でリーガルたちの援護を。
負傷者は『邪神官』オリヴィエが、こちらの兵器群は『錬金機将』ツクヨミが操る。
そして強力な飛び道具である魔法を操る俺とジュダは、遠距離からの砲撃係である。
魔王と魔軍長すべての力を結集し、勇者と天軍の一大攻撃をすべて封殺する――。
「――へえ、すっかり『魔族の王』になってますね」
「な……に……!?」
突然響いた声に、俺は全身をこわばらせた。
ぬるい汗がにじむ。
まさか。
こんな場所にいるはずがない。
あいつはすでに――俺が……!
天軍の列が二つに割れた。
その奥から一人の少年が歩いてくる。
「お久しぶりです、師匠」
「お前……は……!?」
ライル・ライアード。
かつて俺の愛弟子だった男。
そして第一次勇者侵攻戦において、魔王ユリーシャとの戦いで、俺を――殺した男。
「どうして、お前が……!?」
「選ばれたんですよ、神に。僕こそがこの世界を守る救世主だと」
ライルは両手を広げて笑う。
「僕こそが、悪しき魔王を討つ真の勇者だと――」
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