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愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者、史上最強の魔王として生き返る  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第11章 神話の戦い

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3 魔王陣営

「……フリードだ」


 俺は突然現れた『始まりの魔王』を見据え、名乗った。


『よろしいのですか、フリード様』


 ステラの声が頭の中で響いた。

 ゼガート戦で使った念話の仕掛けは、まだ有効らしい。


『とりあえず敵じゃなさそうだ。いちおうジュダもいるしな』


 念話で答える俺。


『相手が魔王なら色々と情報を聞き出せるかもしれない。ただし、警戒は緩めるな。何か怪しい動きでも感知したら、すぐに俺に知らせてくれ』

『承知いたしました』


 ステラが念話で返事し、ヴェルファーに向き直った。


「ステラと申します」

「ふむ、フリードにステラ……か。どっちも聞いたことがない名前だ。力ある魔族はすべて把握していたつもりだったが、まだまだ野には猛者や凄腕がいるらしい。」

「彼の魔力は圧倒的だし、そっちの少女も超一流の瞳術を身に着けているみたいだね」


 と、ジュダ。


 この世界の彼は俺たちとの面識はないはずだが、初見で俺とステラの能力をすべて見切ったのか。

 さっきも俺やステラに気配を感じさせず、背後を取られてしまったし、時代は違えど、やはりジュダはジュダ──ということか。


「ぜひ我が陣営に加わってほしいものだ」


 と、ヴェルファー。

 にやりと笑ったその顔は、魔王には似つかわしくないほど人懐っこいものだった。


「あんたの陣営……というと?」

「お前たちも魔族なら知っていよう。俺たちは今、強大な敵と戦っている」


 ヴェルファーが言った。


「神だ」

「神──」


 俺はごくりと息を飲んだ。

 ステラも隣で同じような反応をしている。


 神と魔王が──この時代で戦っている?


「そして、神が率いる天軍や人間どもの精鋭である勇者軍だ。俺たちとは、もう十数年にわたって戦っているが──どうにも旗色が悪くなってきた」


 ヴェルファーの顔から笑みが消えた。


「天軍は最近、人間たちを味方につけたんだ。『勇者』と呼ばれる特殊な素質者たち──彼らは神の武具『奇蹟兵装』を操る手ごわい相手だよ」


 説明を補足するジュダ。


「人間自体は、魔族に比べれば大した力を持たない種族なんだがな。勇者たちは例外だ。魔族と渡り合えるほど強い」


 ヴェルファーがうなる。


「だが、俺には心強い仲間たちがいる。ジュダはもちろんだし、他にも──」

「然り。我らがいます」

「む!? その者たちはいったい──」


 声とともに、四つの影が近づいてきた。


 炎のように赤い鱗をした竜。

 ぼろぼろのローブをまとったアンデッド。

 スライムのような不定形生物。

 そして、甲冑姿の若い女。


「彼らは?」

「俺の側近たち──四大魔軍長だ」


 俺の問いに、ヴェルファーが嬉しそうに笑った。


「私はシンプルに『四天王』というネーミングを推したんだけどね」

「今は四人だが、将来はもっと増えるかもしれないだろ」


 ジュダの言葉に、ヴェルファーが言った。


「四天王の方がそれっぽくていいと思うんだけどね……」


 妙にこだわるジュダ。

 なるほど、昔は七大魔軍長ではなく四大魔軍長だったのか。


「いずれも一騎当千の猛者たちだ。俺やジュダほどではないが、全員がレベル500を超えている」

『……すごいです、フリード様。私たち魔軍長クラスは通常200前後。歴代の魔王様がだいたい500~700くらいですので』


 ステラが念話で補足してくれた。


 そういえば、初めて会ったときにそんな説明を受けたな。

 つまり、四大魔軍長は魔王に近い──あるいは、同等の実力を持っているわけか。


「それはすごいな」

「だろう?」


 俺の感嘆に、ヴェルファーが破顔一笑した。

 対照的に、四人の魔軍長たちが色めき立つ。


「貴様、ヴェルファー様に向かって、なんという口のきき方だ!」

「膝もつかず、敬語すら使わず……無礼にもほどがある!」


 あ、そうか……彼らにとって『魔王』は俺じゃなくてヴェルファーだからな。

 俺はその『魔王様』に傅かない不届き者、というわけだ。


「いや、いい。俺はそういう堅苦しいのは苦手だ」


 ヴェルファーが彼らを制した。


「それに彼は俺の臣下ではない。在野の猛者。できれば仲間に加わってほしい、と勧誘中だ」

「仲間……?」

「確かに、すさまじい魔力を感じますな……」

「そっちの女の子も可愛い……萌え……妄想がはかどるわ」


 オリヴィエみたいな反応をしている魔軍長の少女がいた。


「俺に免じて、怒りを収めてくれ」


 ヴェルファーが四人をなだめた。


「魔王様の仰せとあらば」


 魔軍長たちが恭しくうなずいた。

 それから俺に向き直り、


「今の言葉は撤回させてもらう。悪かった」

「いや、俺のほうこそ気を遣わせてしまった。すまない」


 巨大な体をかがめて頭を下げた竜に、俺は手を振った。


「あんたみたいな魔族が仲間に加わってくれるのは心強い。どうかよろしく頼む」

「一緒に天軍や勇者軍をぶっ飛ばそう!」

「あたしもがんばりますよ~。よろしくね、フリードさん、ステラちゃん」


 この辺りの雰囲気は、リリムやイレーネ、あるいは魔軍長たちと話しているときに似た感じがあった。


 時代は違えど、彼らもまた魔族(なかま)なのだと──そんなふうに感じる。

次回は2月17日(日)更新予定です。

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