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神の力
次に目覚めた時には、胸の位置に紋章が刻まれていた。
「なんでっ…、私にはまだ1年あるのに…。」
事実を突きつけられると人間というものは、それを避けようとするのだ。その事実を知ってもなお、私の心は1年間という間村から出られないことを信じようとしないのだ。きっと嘘だ、冗談だろうと思ってしまうのだ。しかし、それを真実だと思わせてしまうのが、この神紋なのだ。
「お姉ちゃんっ…!!」
涙を見せていた私のところに雅純が走ってきた。
「大丈夫!?神様に何かされた!?」
「うぅん…。大丈夫、でも…。」
私が胸元に目を落としているのに気づいた雅純は、私の目を追って胸元に目を落とした。
「えっ…、これって…。神紋っ…?」
ありえない。
そう雅純の目が私の目と合った。
「大丈夫っ…だからね…?」
「大丈夫なわけないでしょ!!こんなことっ…!!」
「雅純!」
「っ…、ごめん…。」
声を上げてしまったが、雅純が慌てるのもおかしくない…。
でも、ここで慌てても意味が無いので私たちは山を降りることにした。