昔々の物語
『昔々の話だよ。
ある村を守る神様が、巫女の双子に言ったとさ。
お前達のどちらかが19のとなった時、どちらかを嫁にもらいに来る。お前達2人ではだめだ。お前達のどちらかが嫁に来い。さもなくば、この村を災厄の危機に晒してしまおう。いいな。
そう、言い残して神様は天にお帰りになさったという。
そうして、双子は考えた。どちらかがあの世の神様の元へ行かなければならない。神の教えにはむかえば、この村が災厄の村となってしまう。
神様の元で暮らす巫女は、1週間考え込んだ。それでも答えは出なかった。
そして、姉の巫女が言ったとさ。
私がいきましょう。あなたは、ここに残りその後の村を守っていってください。そして、子孫を残しこの神社を絶えさせてはいけませんからね。
妹は、何も言えず、ただただ、頷くことしか出来なかったという。
双子の19の誕生日に、神様はやってきて、巫女に言った。
どちらが、嫁に来るか決めたのか?
巫女は頷き、姉の巫女が前に出た。
私があなたの元へといきましょう。
神様は、柔らかい笑を浮かべながら。姉の巫女の手を取り、天に上っていったという。
その後の村は安定した、穏やかな村になったという。
その事があって以降、巫女はいつも双子で生まれ、片方は神様へと嫁入りすることが決まっているのだそうじゃ。』
これが、私達の村に伝わる言い伝え、そして今でも双子で巫女は生まれてくる。
そして、姉の方は19になると、嫁入りの儀式が行われ、山中にある神社の社殿に運ばれ神様の嫁入りをするのだ。
今で言えば、生贄とでも言うのだろう。
しかし、この小さな村では今でも続けられていることなのだ。