神奈
「おばあちゃん行ってくるね~!」
「いってらっしゃい、ちゃんと神様にご挨拶していきなさいな。」
「はーい!」
私の1日の始まりは、毎日かかさず365日同じだ。
社殿へいき、村の神様への挨拶から生活は始まる。
「神様、おはようございます。今日も1日むらの民たちに災厄がないことを…。」
挨拶が終わると、私は神社を出てすぐの階段を自転車をガタガタさせながら、下っていく。
村の外にある高校への道は片道30分以上かかるが、私には近道をする方法があるため、そんなに苦ではない。
近所の人達に挨拶しながら、私はまたこの道を行く。
「えー、ではこの問題を…、神奈答えろ。」
「んんっ…、あっ、はっ、はい!」
「はぁ…、お前はなぁ…。」
「えへへへ…、すんません。」
クラス中で笑い声が聞こえてきたが、いつものことだ。
「神奈ったら、また涎垂れてたよ(笑)」
「えっ、嘘ー…。もう、お嫁にいけなーい…。」
クラスで仲のいい紗花には、いつも女子力がないと怒られる。これもいつものことだ。
午後の授業は、眠気に耐えながら途中で負けたりしながら、どうにか耐えきった。
帰り道は、友達と一緒にと、言いたいところだが…。
「じゃあな、神奈。また明日。」
そう言って、紗花は右へ曲がる。
「うん。紗花また明日。」
そう返して、私は左へ曲がる。
反対方向に家があるために、一緒に帰るということは出来ないのだ。
だから、私はまたイヤホンを片耳に入れて、好きな音楽を聞きながら帰路につくのだ。
これもいつものことだ。
いつも同じことの繰り返し。
だから、世界はまとまっている。
いつ、どこでなにがあるのかも、私は全ての予定が決まっている。
神様の近くに生まれた、私のいつものことは、いつも神様に決められている。
だから私は19になる時に、神様の嫁となるために、この世を去るのだ。