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4、ジローラモ危機一髪

 ダンジョンに入ってどれ程たったであろうか?


 小一時間までは経っていないかとは思うが、何しろこのダンジョン、短い脇道が何本かあっただけでほぼ一本道なのであるが、とにかく長い。しかも、エンカウントまでの時間が空くので手持ちぶたさんになってしまうのだ。



「ちゃらちゃらっちゃちゃちゃちゃちゃちゃっちゃ~♪」



【選曲が随分と古いのう。せめて今風にガルパンとかな?】


「思い出させないでくださいよ!」



 転生する前に劇場版が見たかった。前世での唯一の心残りである。



【それが唯一って・・・おんしも大概寂しい人生じゃったんじゃのう】


「うわーん!」


 あれ? 肉体年齢が上がって情緒不安定になってる?




【そろそろ気を引き締めるのじゃ。さもないと死ぬぞ!】



 そう言われて気を取り直し慎重に行動を開始したところ、突き当りの通路に張り紙を見つけた。



『右側に注意』




 俺は、突き当りから覗くように右側を調べようとしたところ、



 とすっ!



 眉間に矢が刺さった。



「OHoooooooow!」




【注意と書いてあるのにうかつに覗き込むからじゃ!】



「眉間にぃぃぃぃっ! 眉間にぃぃぃぃっ!」



【ああっ! 煩いのう!直してやるから黙れ! ケア○ガ!】



 きらきらきらきら



 ふう、直った。



【今回は特別直してやったが、次からは気を付けろよ。HPがマイナスになると本当に死ぬからのぅ!】


「アイサー! 肝に命じます」


 ガクブル、ガクブル。矢怖ひ。



 そして、慎重に移動を再開すると、またしても張り紙がまたあった。


『間欠泉注意』



 見ていると、ぶしゃぁぁぁぁぁぁぁっ! と、物凄い勢いで噴き出してくる。その勢いは、通路を完全に塞ぐ程である。沸騰した熱泉は、少なくとも、触れば大火傷は免れない。



 ! 見やると、中間地点に安全地帯になっているスペースがある。人一人が隠れられる程度の空間であるが、あそこでタイミングを計りながら間欠泉の止まった瞬間に突破すれば無事に通り抜けられそうだ。


 俺は、その安全地帯まで急いで駆けていく。よし、無事辿り着いた。ここで間欠泉をやり過ごしてしまえば無傷で、


 そう、思った瞬間。


 俺の股下から股間目がけて間欠泉が噴き出した。


 思わず危険を察知し、さっ! と避けた。


 大火傷直前の危機に玉ひゅんした。一歩間違えば、てぃんぽが使い物にならなくなる所であった。


 スキル「危険回避」をおぼえた。



【ちっ!】



「ちっ! とか言ったぁぁぁぁっ!」



 こいつ、俺の味方じゃないんか?



【安心せい。今の所は味方じゃ! ただ、せっかく作った罠に掛からないのがつまらなくてのう】


「そんな理由!?」


 

 うわーん! 敵は後ろに居たんだぁぁぁぁっ!




◇◆◇◆




 それからしばらくは比較的剣呑な事はなく時折出てくるスライムやゴブなんかを倒しながら進んでいった。


 やがて、


 またしても、張り紙があった。



『モンスタートレイン注意』


 これって、アレか? 沢山のモンスターを引き連れてくる奴。


 遭遇してしまえばほぼ確実に死に至る。


 確かにここまでは、一撃で仕留めているが、その一方で逆に一撃貰えばただでは済まない怪我をする可能性がある。それだけは勘弁願いたいが、囲まれたらそういう場面もありうるのだ。



【ふむ、ここのモンスタートレインはほぼゴブリンじゃ。中には上位種が混ざっている場合も多く、馬鹿にできない破壊力を持っている。そういえば、ゴブについて説明しておらんかったのう? 聞いておくか?】



「是非、お願いします」



【ふむ、ゴブリンは、身長120センチ 20キロ程度の小柄な鬼の一種じゃ。緑鬼なんぞと呼ぶ者もいるが、肌と血の色が緑なところから付けられた通称じゃな。但し、上位種になる程その大きさはバカにできんものがあるぞ。上位の ホブゴブリンは160センチ、100キロ程度まで大きくなる。こうなると普通に熊並じゃな。更に上のクラスであるメイジやアーチャー等は更に一回り大きくなり、ナイトになると、200キロを超える個体も出てくる。そして、それらを束ねる群のボスは、ゴブリンキングと呼ばれ、確認された最大の個体は、350センチ 550キロを超えるという】



 大きいのは完全に別の生き物であるな。


「弱点とかは無いのですか?」


【無い。強いて言えば正攻法で倒すのが一番被害が少ないやり方じゃな。まあ、そこまで強い個体も居ないじゃろうから、武器が格上のおぬしを負かすような事は先ず無いの】


 なら、心配無いのか? 



 そして、暫く進むと、件のモンスタートレインがやってきた。



 先頭に居るのがなんと、ゴブリンキングらしい。軽く2mを超える身長、体重を誇示しながらの堂々散歩であった。そして、その後ろに付いてゴブキングの肩を揉むホブゴブ君。更にはバケツを抱えたゴブやら只ついてきているだけの賑やかしやら、って、


「グレイシートレインかよっ!!」



 全長百m程の間に数十匹のゴブが前のゴブの肩に掴まって連なって歩いているのである。両手塞がっているのである意味隙だらけである。


 これ、走り抜けながらまとめて斬り捨てられるんじゃ?


 試してみた。


「忍者一閃!」



 一気にぶった斬りながら百mを走り抜ける。体が軽い。


 ずんばらりん、と、ゴブの集団を斬り捨てると、



 レベルがあがった。

 レベルがあがった。

 レベルがあがった。

 レベルがあがった。



 すんげ~!


 一気に上がったな。

 しかし、こうも無防備な相手に無双するとか、虚しいものがあるな。



 ぴろりろりん


 スキル 「闘いの虚しさ」をおぼえた。



 「忍者一番刀チ〇コ」をゲットした。



 なぜに?




◇◆◇◆




 サクサクしたコーンチョコをほおばりながら更に道なりに進む。しばらくおっぱいだけだったので久方ぶりの食感を堪能した。まぁ、おっぱいはおっぱいで堪能して、げふんげふん。


 ちょうど食べ終わったところで、宝箱発見! お宝の予感に手を出してみると



 宝箱はミミックだった。


 ガブリンチョ! 


 俺は頭から丸ごと齧られた。


 俺、一巻のお終い。


 ではなかった。なんか、顔をチョー巨大な舌で舐められたら、その後、ぺっ! と吐き出された。尻もちをつきつつも困惑する俺。


【ふむ、どうやらおぬしの顔に付いてたチョコを舐め取っただけであったな】


「チョコっすか? ミミックって甘党なの?」


【結構有名な話じゃぞ? ミミックの死因第一位は糖尿病じゃ!】


 ちなみに二位が討伐らしい。


 と、言う訳で、第二位を目指してみた。


 ズビシバシ!


 かいしんのいちげき!


 ミミックのこうげき


 ミミックはとうにょうがあっかした。


 ミミックはうごけない。


 おれのこうげき


 ズビシバシ!


 かいしんのいちげき!


 ミミックをたおした。



「だがな、貴様に負けた訳じゃないぞ! 糖尿に負けたのだ! ぐふっ」


 事切れる寸前、そんな捨て台詞を言われた。


 そして、ミミックは貴重な品を残して消え去った。


「砂糖」をゲットした。


 ご丁寧に「御贈答」の熨斗がついていた。





あとがき


 昔はお歳暮などに砂糖を贈るのは定番でした。

 昨今ではお中元やお歳暮の習慣がなくなりつつあり、非常に残念です。

 皆さんは贈り物してますか?

 さあ、みんなで一緒にお中元、お歳暮を贈ろう!

 

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