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ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第一章 変わること、変わらないこと
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ネガティブ・ニューカマー(9)

「あれ……達也さん、弁当はやめたんですか?食堂に来てますけど……」


メニューを選んだ後、食券をカウンターに出して待っている時に、

隣に立った達也さんに思い出して聞いてみました。

寮生は寮の弁当が無くなったので、食堂に来なければならないのですが、

寮生でなければ弁当でも食堂でも購買でも選択自由なわけでして……。


「まあな。食堂あるんならそこで食えってよ。弁当作るのが面倒らしい。血も涙もない親だぜ、まったく……」

「達也さんのお母さん、忙しそうですしね……」


達也さんのお家にお邪魔しますが、お母様はたまにしか見かけないので、

推察するに共働きなんだと思います。それぞれ色々ありますよね……

と、ぼんやりしてたらきつねうどんが出来上がったので、

達也さんが日替わりランチを受け取ったのと同時に席へと戻ります。



すると、一人待っているはずの直樹さんの向かい側に、

なんだかおなじみの正くんが座ってました。


「でさー、やばいんだよー!何とかならないかなー。」

「正、お前少しは計画性を持てよ。大体行動するのに……ああ、お帰り!」


直樹さんは僕らの方を見るなり話を止め、席を立ちました。

今度は席取りをしてくれてた直樹さんが料理を取りに行く番です。

正くんは、直樹さんにはついていかずに残りました。


「どーもー!俺の悩み聞いてくれないかなー!ナオキのバカはまともに取り合ってくれないからさー!」


う、うん……うるさいですね……食事したいですね……。

僕も達也さんもさすがに料理が冷めちゃうので、食べ始めつつ、

正さんの悩みを聞くことにしました。


「いやー部員が全然集まらなくてさー。あれから一人しか増えてなくてさー。」

「ああ、またその話か……まだ探してたのか。ご苦労な事だな。」


どうして達也さんが上から目線なのかよく分かりませんが、同感です。

見かけどおり、熱意があるんですね、正くん。


「ロックでガーンってやればみんなメロメロになるはずなんだけどなー!みんなロックのこと、全然分かってないんだよー!」

「そうだろうな。それじゃ俺にも分からんぞ。」


もちろん、僕にも分かりません★


「五人必要なんだけどさー、俺を入れて三人でー、あと二人必要なんだー!あ、お前らちょうど二人だからー!」

「いやいや、僕は野球部ですし……ちょっと音楽の素養は……」


ちなみに音痴です。なんか人って意外な特技みたいなのありますけど、

僕は基本的に何も人並みには出来ないと思っててください★


「そういや、直樹は誘ったのか?」

「へ?」

「いや、お前ら仲良いし直樹を誘えば良いんじゃないか?あいつも今のところ部活入ってないと思ったが……」

「えー!ただの腐れ縁だしー、なんかナオキ入れるのシャクなんだよなー!」

「シャク?」

「絶対軽音楽部作って見せるー!って言ったからさー、なんかナオキに協力してもらうのはちょっとなー!」


「俺がどうかしたか?」


直樹さんがちょうど料理を持って帰って来ました。

いつも気配無くヌッとあらわれるのも「奇跡の子」の能力ですか?

それなら僕も「奇跡の子」です。影薄いですし……。


「直樹が軽音楽部に入ってやればいいんじゃないかって話してたんだよ。」


「ああ、俺でいいんならやるよ?」


あっさり……。心が無いとフラグクラッシャーですね……。

すると急に、正くんの挙動がおかしくなりました。


「え、お、あ、ナオキ、お前がやってもー、お、俺が軽音楽部自分で作るって」

「別に良いだろ。俺が協力しちゃまずいのか?」

「あ、いや、まずいとかー、そうじゃなくてー、べ、別に嬉しくないしー!な、ナオキが入ってくれて楽しそうなんて思ってないしー!」

「ああ、頑張ってみるか。」


なんか会話がかみ合ってないんですけど……。

でも、あれ?これ、あれですよね?

さすがの達也さんも、読み漁っているラノベの知識で知っているようで、

僕に顔を近づけて小声で言ってきました。


「正ってアレなのか?ツンデレなのか?」

「えーっと……はい、明らかにそうですね……」

「しかし、直樹は気づいてない感じだな……」

「そうですね……なんか心が無いとか色々ありましたが、とりあえず超鈍感だって事で良い気がしてきました……」

「そうだな、まったく……応援してやりたくなるぜ。」


ニヤニヤし始めた達也さんに合わせて、僕も苦笑いしてみます。

正くんも直樹くんも、僕らの異様な様子に口を出してきました。


「な、何話してんだよー!」

「面白い事でもあったか?」

「いや別に。なあ恒太?」

「は、はい……」


達也さんのニヤケは止まりません。そう、応援……応援ですか。

応援は良いですけど僕の恋も何とかしてくださいよ達也さん。

自分の恋愛が停滞しまくってるんですけどそれはどうしたらくぁwせdrf


「でもどっちにしろー、あと一人足りてないんだよなー!未経験だろうととりあえず人数が居れば決まりなんだけどさー!」

「うーん……何かウリとか無いのか?さすがに楽器も無く興味持てって言われても厳しいと思うが。」


それぞれ食事を進めながら、何とか策を考えてみてます。

僕なんかあまり量も無いので早く食べ終わっちゃいました。教室に帰りたいです。


「そしたら、めっちゃ可愛い子いるしー!それがウリだったらどうかなー!」

「……可愛い子?」

「いや、男なんだけどさー、なんかフワフワしててさー、天使みたいでさー!」

「ああ、正は少し変わっててな。可愛い男の子が好みなんだ。」


可愛い男の子。最初からソッチの気はあったんですね分かります。

正くんは目をキラキラさせながら言ってきました。


「ああ、テル君って言うんだー!本名は月山和輝(ツキヤマカズテル)!」

「て、テルだと?」


おっと?すごい速度でデッドボール飛んで来たよ?最初から死球狙いだよ?

出てきた名前は、なんと達也さんの幼なじみの一人でした。

えーっと、達也さんの幼馴染は皆さんそれぞれ強烈な個性を持っており、

テル君は、ほんわかした雰囲気の中に毒をお持ちになっている方です。

悪い人じゃないんですけどね。去年同じクラスで、色々と助けてもらいましたし。


「そういやテル、吹奏楽部いろいろあって辞めたとか言ってたな……まさかお前に誘われて軽音楽部に移ったとはな……」

「あれ、知り合いだったんだー、じゃあなおさらおススメするわー!」

「そうか……テルが居るなら、やっても良いかもな。」

『えっ?』


僕と正くんの声が被りました。直樹さんはマイペースにご飯食べてます。

達也さんはうつむいた後、正くんの顔を見て言いました。



「未経験者でも良いんだろ?それなら軽音楽部、入ってみるか。」

「うおー!よろしくなー、タツヤー!!」


け、軽音楽部、結成しました。


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