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ネットゲーム中毒、リアルの崩壊

作者: 田坂仁志

私自身、数年前までネット中毒だった。毎日のようにゲーム機弄っては、ネットに接続して、ネットの中の仲間と四六時中遊んでいた。ネットの世界には、現実世界で感じる、人間の煩わしさなどは一切ない。その世界では自分のキャラクターのレベルによって、ランク付けされており、より暇を持て余した人間、ネット中毒患者が、ゲームの世界では強者だった。

 

 勿論、ネットゲームを四六時中していると、現実世界での自分は崩壊していく。風呂も入らずに、睡眠時間も削り、キャラクターのレベルと、アイテムを集める為に、ほとんどの時間をゲームに費やすことになる。事実ネット中毒で過労死する人間も存在するくらい、その依存度は高い。

 

 現在、日本では麻薬も禁止されており、犯罪も世界レベルで考えると、かなり少ない方だ。若者は現実の不満を、社会の不合理を解消するために、麻薬などではなく、ネットゲームの世界に依存し、その世界で理想的な自己を見つけ出している。キャラクターに好みの装備をしてオシャレをする。家族関係や現実の煩わしい人間関係から、より利己主義がまかり通る人間関係へとシフトしていく。


 時代の流れなのだ。現在日本は、物流システムとその歯車を動かす人間、多少の労働力があると、国民を養うだけの社会保障がまかなえる。むしろ社会の発展により、生産過剰となり、需要は供給を上まって、若者が自己に抱える不満を、社会的労働で解消する機会がどんどん減っている。その歪がネット中毒患者を増産しているのではなかろうかと、自分は考える。


 新しいものは拒絶される傾向にある。かつて私も親から、テレビを観ると頭が悪くなるからと、親からテレビを観ることを禁止されたことがある。新しいものは害悪だと考える人間が、老人権力の日本では必ず存在する。ネット社会は現在、新しい文化から、普遍的文化への変動期を迎えているのではなかろうか、時代がネットを必要としているのだ。誰もがスマートホンを持ち、四六時中ネットに触れる。コミュニティや仕事がネットから生まれる。コンテンツや文化が世界的なリンクを果たし、一つのワールドネットワークになっていく。


 バットもイチローが手にすれば、何本ものヒットを生み出すが、殺人鬼が手にすれば、何人もの被害者が出現する。リアルを崩壊させる足かせにもなれば、世界を拡げて、より高次な社会への入り口にもなる。文化に対する両価性は必ず存在するのだ。テレビやラジオ、産業革命がそうだったように、多くの人間を巻き込み、化学進化の渦へと流される。渦に流されることなく、一人一人が時代の流れを自覚して、波に乗ることが必要になってくるのではなかろうかと、私は考えるのである。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに、時代の流れは進んでっていますよね・・・>_< ネットで、夢中になりすぎるとかありますよね~(*_*; 今は麻薬じゃなくてインターネットだと言う表現がよく分かりやすかったです!(`・…
[良い点] 自分も一時期ネトゲ中毒者だったので、いろいろ考えさせられるものがありました。 [一言] 良いものが読めました。 ありがとうございます。
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