26,
それから一年後。
「皐月。」
「はい。」
「すまないが、隣と宗吾先生の原稿を頼む。」
「はい、わかりました。」
あれから皐月は出版社に勤めた。
「先生ー!原稿取りに来ました。」
「………」
「………」
にゃー
「ごめんな、アリア。先生方?」
「すまない、皐月。」
「原稿終わんないかも。」
「………明日の昼まで時間伸ばしたから、それまでに。」
「………」
「はーい。」
ニャっ!
職場兼家に入ると息詰まる小説家の先生方。皐月は呆れて物も言えないが、宗吾・隣が仕事をしている間、ご飯をつっくたり家事をこなしたり、家のサポートをしている。
ゴロニャーン
「はいはい、今ご飯やるから。」
あれから一年と二年近く、アリアは元気だ。色々な病気になったりしたが、白血病が再発することなく友達とも遊んでいる。
ニャーン
「はいはい。ほい、ご飯。」
コトっとアリアの前にご飯を置く。そして、
「皐月、原稿、終わった。」
「おう、こっちも終わったよ。」
カチャカチャ、ご飯に飢えている獣ように昼食を食べる、宗吾と隣。
「えっと宗吾は残り三十枚、終わって。隣は残り四十ページなのにまだ五枚……。」
「ごめん。」
「いや、あとまだあるけど大丈夫か?」
「んー…………」
ゴデッ考えている隣は机に頭をぶつけた。というよりも寝オチだ。
「隣君。」
「……遥先輩、隣さんが寝ました。」
<「起こせ―!!」>
編集者になってから騒がしい毎日を過ごす。卒業しても変わらない毎日。
「とにかく頑張れ、隣。」
「ヴん。」
「賑やかだな。」
「あぁ。」
「皐月。」
「うん?」
「大好き。」
「……。」
「理由知りたい?」
「何の?」
「皐月をここに呼んだ理由。」
「……」
「君に一目ぼれした。」
「……俺も。」
「?」
「あんたに一目ぼれ。」
「うん。」
「案外普通だな。」
「うん…………書いてもいい?」
「は?」
「この話。」
「は?」
「だから、恋愛小説。」
「……内容によるけどな。」
「うん。」
「皐月―。」
「はい。」
「手伝ってくれ、隣がまた寝落ちだ。」
「はいッス。」
「………………。」
幸せじゃない日もある、それでも今が幸せといえる。
「うん、書けそうだ。」
「?」
にゃん?
宗吾の幸せの言葉に皐月・アリアは気付かないが、後にこの話が話題になるとは知らないが、
今この幸せが続くことを願って
「皐月、アリア。」
「ん?」
「愛してるよ。」
にゃー?
「はいはい。」
fin
今回にて猫と男二人で終わりです。
長かった、、二十話以降まで続くことはないので長かった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。宗吾のように頑張って他の作品も頑張ります。
「またな。」
ニャー
「どこかで。」