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私と彼女の13日の地獄  作者: 詩機吏 架恋
殺戮
9/15

第7談

 マウスをクリックすると黒い画面が現れる

『ようこそ―YYMネット―へ。あなたの恨み・嫉み・僻みすべてここが受け入れます。』

などという変な紹介文が白い文体で書かれている。何故か敷枝はそれに恐怖を覚えた。秀十郎はマウスのカーソルを【2年4組の掲示板】へ合わせる。

 クリックすると膨大なデータがデスクにおいてあるパソコンにロードされる。最新の書き込みはNo.12121212の『PN.kuro』による書き込みだ。秀十郎は機能の一つ、「過去ログ検索」を使用してワードを打ち込む。【復讐】。すると1件の書き込みが表示された。


No.11988211 PN.???? 2013年7月2日 13時27分20秒13 IP:uh9uobnkih30oni

報復復讐襲撃劇的終焉


命の代償は高い


高き魂を貴様たち全員の命で


命乞いしながら返すが良い


13日の地獄が始まる


レス:32件


「なんじゃこりゃ……」


獅子が一人つぶやいた。秀十郎はバッグからUSBメモリを取り出した。

「何? それ」

「このメモリの中にIPアドレスから書き込んだ場所を見つけ出すことが出来る違法ソフトが入ってる。これで見つけることが出来るんだ。」

 そのままメモリをパソコンに接続し、ソフトを起動させた。秀十郎はこの書き込みのIPアドレスをクリックした。隠されていた位置情報が検索し始められる。『残り時間:12分』と表示されると、秀十郎の携帯が鳴った。秀十郎はあわてて携帯を開く。

「これ、絹糸ことかな? でも死人がインターネットに書き込めるわけがないし…」

「誰かが成りすまして書いてるか、これを書いた誰かが犯人かもな」

 会話していた二人の間に秀十郎が戻ってきた。

「ごめん、今からちょっと用事があるからもう行く。後で連絡くれ。」

「わかった。じゃあ後でな!」

 秀十郎は獅子の返事のみ聞くとせかせかと教室を出て行った。どうしてそんなに急いでいるのかわからなかったが、そんなことは速攻に獅子は忘れてしまった。


 それから十二分が経った。

【書き込んだ場所:ネットカフェりんご私鉄黄泉泉線黄泉泉駅前店】

「出たぞ! 書き込んだ場所、メモして頂戴」

「わかった。黄泉泉駅の……ネットカフェね」

 敷枝がかばんからメモ帳を取り出し、画面を見ながらさらさらと書き込む。

「ここの店員にこの日に誰が使ったか聴きに行こう。秀十郎に電話しないとな」

 獅子が携帯電話を取り出し秀十郎を呼びだそうとしたが、『お留守番サービスに……』といつもの謳い文句がつながったため獅子はすぐに諦めた。

 黄泉泉駅はこの学校から走って一分のところに所在してある。多くのサラリーマンや学生が使用するため、大きな企業の店舗が数々周辺に存在している。ネットカフェもその中のひとつだ。一時は多くの学生や残業していたサラリーマンが使用していたが、年々利用者が減っていき、とても過疎っている。利用者が少ないということはこれを書き込んだ人間もすぐ

わかるということだ。防犯カメラもあるし。

「もう少しだ……ん? 何かあったのか」

「救急車と消防車かな?」

 多くの人々が集まっている。その近くには見慣れた白い車体と赤い車体が止まっている。消防車はなおもホースから水を流して何かを消化していた。

「おい、まさかあそこって……ネットカフェじゃねえか!!」

 獅子の言うとおり燃え盛っていたのは彼らが求めていた場所だった。人と炎で盛っている。真実につながるひとつのカギが、燃えて消えた。白い車体の前に居る三人の黒く焦げた、まるで使い古された炭みたいになった「人間だった塊」が横たわっていた。

「こんなの……そんな」

敷枝は呆然とその様子を突っ立って見ていた。あの時みたいに。


《さようなら。あなただけは友人だと思っていたのに》






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