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私と彼女の13日の地獄  作者: 詩機吏 架恋
殺戮
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第6談

 獏はその頃、自室に居た。不知火にかけられた硫酸の後を包帯でしっかり巻いてある。そして、彼は机の上に飾ってあった絹糸の写真の前でつぶやいた。

「光と闇 水と炎 大地と海原 神と魔王 すべてのものについなすものが存在する。世界に対立しているものがあれば均衡が保たれ、世界は続く。この世界にはただひとつ、対なすものが存在しないものがある。それは「孤独」。「仲間」でも「集団」でもない。「孤独」に対成すものは存在しない。」

 獏はそのまま外へ出た。数歩歩いたところに、野蠍刃金のざそりはがねが現れた。彼が自分の後ろに来たことに、数秒、獏は気づかなかった。

「君、居たのか。」

獏は冷静に刃金へ言う。

「居たさ。さっき会ったばかりだろう?あれを運ぶのに苦労したよ、全く。」

「君があんな趣味してるとは思わなかったよ。君、あれをどうするんだ?」

「獏、君は本当、学校とはしゃべり方が違うねえ。先ほどまではオロオロしていたくせに――っと、話がずれてしまったね。勿論、「解体」するんだ。」

「こいつと話すのは嫌いだ」獏は心の中でいつもそう思った。なんせ、しゃべり方がとても気味が悪い。不気味だ。まるで、心の中に入りこめれるような感じがする。

「「解体」――ね。本当、気味は趣味が悪い。それじゃあ僕は先に行くよ。会う約束がある。」

「ちょっと待ってくれ。君は「New World Order」をしってる?」

「いきなり、なんだよ。」

あきれたように獏は言う。

「「New World Order」、直訳で『新世界秩序』さ。今の世界人口は70億人を超えている。このままでは人口は増え続け、地球の水・食料はどんどん減っていく。勿論、日本も例外じゃない。少子高齢化によって子供が減り、老人が増える。」

「だからなんなんだ?」

「問題は「優秀」な人類と「劣等」な人類の割合だ。今では「優秀」な人類は約3割、「劣等」な人類は約7割。聞いてもわかるだろう?増え続けているのは「優秀」ではなくて「劣等種」なんだよ。。出来の悪い親が出来の悪い子供を生む。その子供がまたできの悪い子供を生む。いずれ、人類から「天才」は消えてしまいかねない。それを食い止めるのが「New World Order」だ。人道掛じんどうかける氏の「ハッシュタルト社」から、耳に埋め込む「携帯電話」――これを、「電話」と呼ぶのがふさわしいかわからないが、この電話がその最初だ。」

「確かに、耳に埋め込む電話はすごいと思うよ。それが一体―――」

「『ハッシュタルト社』が目指しているのは、耳に埋め込む電話――「伝話」とでも言うとしよう。それが進化すれば、『メモリー』を人間の脳内に埋め込むことが出来る。」

「人体に……?」

「これから、人類は調整される。さらにその中から、選ばれる。『優秀な遺伝子』、がね。つまりは「優秀な遺伝子」を持つもののみが子孫を残し、「劣等種」は一生、死ぬまで奴隷として働かせる。」

「そんなことが……出来るわけ…!」

「出来るさ。「劣等種」はバカだ。この世界に流されるだけの存在。あいつらは今もだまされているから――。まあ、その話はおいておいて、続きをしよう。「優秀な人類」が、そう簡単に増えるわけがない。だから、新たな「生命の発現」が行われる。」

「まさか、それは……」

「そのまさか、「クローン」だ。「クローン」を使えば、確実に、適合的に、効率的に、この世界に君臨するものが生まれる。それが、新世界秩序なんだよ。この世界で何が起こっているか、考えるんだ。世界中での独裁国家の民主化運動、東日本大震災、9.11世界同時多発テロ、新種ウイルスの発生、TPP―――――すべて、ひとつに繫がっている。」

「まさか、君がこんなにしゃべるなんて思わなかったよ。じゃあ。」

 獏はそういいきると、駆け足で目的地に向かっていった。その姿をひたすら、ずっと彼は見つめていた。

「新世界秩序―――その始まりはこのクラスから始まっている。」


「耳埋め込み型携帯ね――。よくこんなの作ろうと思ったな~」

「そんなことはどうでもいい。早く裏サイトへつなげろ、獅子。」

 ヤフーニュースを見ていた獅子に秀十郎が言う。獅子はふてくされながら検索ワードに「―YYMネット―」と打ち込む。

「本当にこんなので出てくんの?」

「出てくるけど、パスワードが必要なんだ。」

秀十郎は、検索して出てきたサイトからリンクを使い、3箇所のサイトを飛んでいった。そして4箇所目のサイトにたどり着いた。画面は真っ黒に染まり、パスワード入力用の打ち込みバーが表示された。そこに秀十郎がパスワードを打ち込んだ。

『new world order』

「開かれた。真実を、探そう。」

秀十郎の冷たい声に、獅子は少し、驚いた。



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