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私と彼女の13日の地獄  作者: 詩機吏 架恋
殺戮
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最終談 終幕

 彼女は一人逃げていた。みんな殺された。自分の親友、巾足絹糸に。もう、あのクラスはここに存在しない。ここにあるのはただの絶望だ。

 足に劇痛が走り、敷枝はその場に転げてしまった。

「やっと捕まえた!」

 敷枝の足には包丁が刺さっている。ドクドクと血が流れ出ている。その血を舐めると、絹糸は敷枝の前に立ちふさがった。

「残念だけど、もう終わりだよ? 君の負けだ」

 絹糸は薄ら笑みを浮かべながら言う。

「っていうか、生きてたとしても生きる意味なんてないんじゃないの? みんな死んじゃったし。友人も幼馴染も親も」

「お、親!?」

「そうだぜ、残念ながら君の両親は殺しちゃった」

 敷枝は感情が無いように感じた。なんせ、全て失った。生きる意味など、何もない。

「だから、おとなしく僕に殺されな。親友からの願いだ」

 絹糸は持っていた包丁を振りかざし、敷枝に刺そうとした。その瞬間、絹糸の腹から大量の血が吹き出た。

「ふ……ふざけないで! あんたは親友なんかじゃない、殺してやる!!」

 敷枝の手には足に刺さっていた包丁があった。先程絹糸を切りつけた時の血がついている。

「そ、そんな……」

 敷枝は絹糸を押し倒し、再び包丁を刺した。制服に血がにじみ出る。

「ぼ、僕を殺してもいいのか? さもないと……」

 言い切る前に敷枝が顔に包丁を刺した。その瞬間、絹糸が絶命した。敷枝は傷ついた足を引きずりながら校門へ向かった。

「なに? あれ」

 彼女の前には機動隊がいた。

「犯人が現れたぞ! 構えろ!」

「え、ち、違う!!」

「撃て!!」

 大量の銃撃が敷枝を襲った。全て彼女にぶち当たり、敷枝は血まみれでその場に倒れ込んだ。


 死ぬのか、私……こんどは、こんなところに生まれたくない……みんなとわらって生きていける世界に、生まれ変われたいな……


 少女・高宇土三重根(たかうどみえね)は入学式を終え、自分の席に座っていた。彼女はかつて生きていた苦界敷枝とそっくりだった。そして彼女はカバンから「PRIMEVAL」という本を取り出して読み始めた。

「それ、君好きなの?」

 後ろの席から声が聞こえた。彼女はこの声を聞いた覚えがあるような感じがした。

「え、ええ」

「そうなんだ、僕もなんだ。僕は巾足絹糸」

 彼女の中で何かがはじけた。思い出した。私は苦界敷枝、死んだはずなのに、なんで……

「生まれ変わっても逃がさないぜ? 見てな、何もかもを壊して、君を絶望の果てに殺してあげるからさ」


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