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私と彼女の13日の地獄  作者: 詩機吏 架恋
殺戮
10/15

第8談

【7月31日火曜日 午後8時13分】

 二人の犠牲者の告別式が行われた。無残に殺害された学生の遺体が黒い、まるで地獄へ誘う様な無限の闇を思わせる棺へと静かに入れられた。多くの参列者が訪れた。母父、祖父母、従兄弟、親戚。それに友人。会場の中は悲しみに包まれた。その中には黄泉泉高校へ調査に訪れていた警部も居た。苦界警部は彼の母に事件当初の状況を聞き入れていた。

 烏鳥島寺の住職がお経を唱えている中、黒い影が告別式場へ侵入した。しかし、誰もそのことに気づいていなかった。3列目に座っていた獅子が秀十郎にメールを送信した。

「秀十郎、どこに行ったんだ?」

「用事じゃないの?」

 するとどこからかメールの受信音が聞こえた気がした。

「誰だよ……マナーモードにしろよな」


 自分の息子の無残な身体に、二人の母親は泣き崩れた。その泣き音が式場に鳴り響く。クラスメイトの一人で秀十郎のグループの一員・明日葉美弥(あしたばみや)が席を立ち、トイレへ向かっていく。その後ろを黒い影がついていくことに彼女は気づかない。そのままトイレへ入ると黒い影はそのフードを脱いで電動ドライバーを取り出す。その者はドライバーを試しに動かすと、個室の中の美弥に向けて動かす。螺子がはずれドアが音を立て外れる。

「な、何よ! 早く閉めなさい!」

 フードの人物は話を聞かずドライバーを高速回転で美弥に近づける。

「ちょ、ややめて! なんで……なんであなたが!? まさか、あなたが……」

 フードは右手で口を押さえる。そして左手で電動ドライバーを脳天に近づける。美弥は必死に手と足を動かす。しかし、ドライバーは一定速度で脳天に向かう。生にすがり付こうとする美弥は一向に現実を迎え入れようとしなかった。必死に生きようとしている。でも、フードは手を止めない。ついにドライバーの先は皮膚に接触する。プラス型ドライバーが肉を引き裂こうとする。皮膚がずたずたにドライバーに引き裂かれ、鮮血と肉が身体の外に現れる。そして真っ白な頭蓋が出てくる。ドライバーはそのまま頭蓋を突き抜け柔かい脳みそに到着した。そのまま脳みそをぐちゃぐちゃに破壊し、ドライバーを引き抜いた。肉片と血と脳が滴った機械をその場に捨てるとフードをかぶりその場から立ち去った。美弥の遺体はそのまま個室の床に滑り落ちる。そんなことは誰も気づかなかった。彼女の惨たらしい肉片が発見されるのは5時間後のことである。

 

森の中にある小屋にフードの人物は逃げ込んだ。フードを脱ぎ捨てると、かばんにしまってあった制服に着替える。ドアが開き、一人の女性が入り込んできた。

「殺ってきたの?」

「うん」

「ご苦労様。これで6人目ね、順調に復讐が行われているね……」

「次はだれだ?誰を殺したらいいんだ?」

「あなたは休んでいて良いわよ。次は彼にやらせるから。」

「でも、アイツは……」

「大丈夫。殺させて殺しに慣らせておいたから。」

「誰を……殺したんだ?」



 獏は血まみれになった遺体のそばに立っていた。遺体を蹴ると持っていたノートを確認した。多くの文字が書き込まれていた。

「ここまでたどり着いていたんだね……君は、本当に頭がいいよ。野蠍君が君に嫉妬するもの分かる気がするよ。でも、知りすぎたんだ。知りすぎた故に君は命を失うことになったんだ……残念だったな、月島……秀十郎君」


PLLLL

 クラスメイト全員の携帯にメールが送られてきた。

【受信時刻20時20分 送信者:月島秀十郎 件名:   本文:6人の命が代償になった。残るは25人。お前たち全員の命が失われることによって彼女は復活する。】


「なんだよ……これ、秀十郎!?」

「どういうことなのよ、何で月島君がこんなのを……」

 復讐の鐘が鳴らされた。クラスメイト全員が断頭台に立ったのだ。




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