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煩能〜108の能力で闘う者たち〜  作者: のっぽ童子


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11/12

四天王の盤面

ここは煩能軍本部会議室。

寺のような荘厳な背景にお偉い様が机を挟んで座布団に座っていた。

顔が見えぬよう紙が貼り付けられている。

その護衛は30以上もいた。


「皆よ、しかと聞け。フクシマ支部長の田中 正俊が援軍を頼んできた」


声の低い男が切り出す。


「ほう? 事態は収まったはずでは......?」


女性の声が訊く。


「フクシマ支部所属ニコラス・ハルバーと元本部所属の受田 美付子が戦線離脱のようだ。ただ、烏滸(おこ)がましいことに四天王......かそれに匹敵する者を要求している」


「まぁ、担当を本部防衛の要である四天王に任せると......? なんと、腹立たしいことか......」


「まぁまぁ、皆方。落ち着きなはれ、ここであの生明(テロリスト)を排除出来ると考えれば、得ではないか?」


特殊な口調の男が意見を提示する。


「だが、その隙を突かれては本末転倒......」


これでは会議が詰まる一方だ。

ただ、それに終止符を打つように1人の者が前に出る。


「なら、ボクが行きまぁす」


それは護衛に当たっていた者。

紫髪に紫色の光沢がある眼鏡を合わせ、黒スーツを着た男だ。

武器として、日本刀を備えている。


「なんと!? 四天王自らが志願するとは!」


「軽薄な!」


「ぶっちゃけ、防衛は1人でも成り立つし......現場にいったこともない、あんたらには発言権なんかないよ」


その時、軽そうな瞳から冷酷さが垣間見える。

瞬間、一同は首が冷えたように感じた。


「わ、分かった......許可しよう」


誰も異論を挟めなかった。

いくら本部の上層部と言えど自分可愛さは目立つ。


「あざぁっす! じゃあ、行ってくるわ」


四天王と呼ばれた男はフクシマへ向かって行った。


------拠点では。


「竜成、来い」


田中が飯を食べ終えた竜成を呼ぶ。


「はい!」

(訓練とかかな?)


しかし、2人が着いたのは裏口の倉庫だった。

田中はそこに縛っている幹部連中を置いていた。


「こいつらを監獄に引き渡しに行く」


「なぁ、田中! また、()り合おうぜ!」


幹部候補......いや、元候補の巻宮が叫ぶ。


「はいはい、黙れ」


と、片手で車のトランクに入れた。


「なんで、また俺と?」


「知っておいた方がいいと思ってな。秋有とかは行ったことがあるから」


「ん?」


なぜ、ここで秋有の名前を出したのかは竜成には分からなかった。


「ちなみにな、移動方法は公道じゃなく......地下だ」


倉庫にある黒いボタンを押すと、地下が現れる。

それは丁度、車が通れるほどのスペースがあった。


2人は車に乗り込んでそこを移動すると、車が加速装置に乗り上げ、新幹線と同等のスピードに変化する。


「監獄って多分、能力者専用すよね」


「おぉ、察しがいいな。そうだ、普通の刑務所にいれたら、脱獄し放題だからな。んで、典型的な物語にいる四天王ってのがそこの獄長をやってる」


「四天王?」


「ああ、本部にはな。人知を越えた怪物が4人いて、そいつらを四天王って呼んでんだ」


「じゃあ、田中さんと四天王ってどっちが強いんすか?」


興味本位で聞いたことだが、竜成本人は息を呑む。


「全員と戦うなら、ちょいとキツいかもしれんなぁ」


「えっ......ぜ、全員!?」


「おう」


田中は返事は軽すぎた。


「そうだ、機会があれば戦え。糧にするんだ」


「えぇ.....」


------数時間後。


「おい、竜成。起きろ」


「あっ......ふぁい......え!?」


竜成は車で寝ていたが、目を覚ますととんでもないの目に焼きつける。

それは全長100mはあるかという巨大な灰色の長方体であった。


「分かると思うが、ここが監獄だ。ただ、数多くの罪人が囚われてる......精神がやられないようにな」


田中は犯人たちを持ちながら、中へ突入する。

竜成も恐る恐る足を踏み入れた。


監獄の空間は意外とさっぱりしていた。

囚人たちが和気あいあいとしている。


「あれ......案外、平和だな」


「いや、そうさざるを得ないんだ。なぁ? 錨銛(びょうぜん)?」


田中が誰かの名前を呼ぶと、


「さあな」


最上階である30階目の通路から野太い声ごと地面に男が墜落した。

その時、周りの受刑者が冷静を装いながら、焦り始める。


海賊のような淡い茶色の上着に白い羽のついた黒のハットを合わせ、下には白のシャツ・革のズボン・革靴を履き、肩に(いかり)を乗せる男がいるだけでだ。


「竜成、こいつが......」


(うしお) 錨銛(びょうぜん)だ。それにしても、お前が2度もガキを連れてくるとはな。もしかして、秋有の彼氏だったりするか?」


「違います!」


竜成はすぐに否定した。


「はっ、青いねぇ。なぁにちょいと、からかっただけだ。んで、田中......そいつらが今回の実行犯ってわけかい」


「ああ」


「なぁ! おっさんも強ぇのかよ!?」


また、巻宮がちょっかいを出す。


「根気のありそうな奴だな。労働力として貢献してくれたら、闘っても良いぞ」


「よっしゃぁぁぁぁ!」


(これ、扱き使われるやつだな......南無三)


竜成は目を細める。


「じゃあ、進めようか」


田中は口頭で手続きをすると、錨銛が部下に手で命令し、実行犯たちを運んでいった。


竜成は辺りを見渡して、首を傾げていた。


「なぁ、坊主。質問したそうな顔だな」


「いや......いくら四天王が強くても、囚人たちが煩能を使えば、脱獄出来るんじゃねぇかなって」


「おい、坊主......」


錨銛の剣幕は異常だ。


「あ、いや! 興味本位なんで!」


「その通りだ」


「え?」


「この悪人どもだけでも、煩能軍以上の戦力がある。それを俺含め看守だけで管理するのは無理だ。そこで重要なのが『除夜の鐘』だ」


「『除夜の鐘』って、あの?」


『除夜の鐘』は年末年始に鳴らすことで、煩悩を鎮め、新たな年を迎えれると言われている。


「ああ、あれには実際、煩悩を抑える効果があってな。それに準ずる能力も当然、弱くなる。囚人たちには鐘と同じ周波数を出すチョーカーを付けてもらってるんだ」


「なるほど」

(『除夜の鐘』って形だけのものだと思ってた......)


「ただ、能力はないとはいえ、数が多いのは厄介だ。それを抑えれてるのは錨銛がいるからだな」


田中が珍しく褒める。

それだけの実力者ということだろう。


「田中、そんなに褒めても100万円しか出んぞ」


「結構、出るじゃねぇか」


(俺もこの2人のように強くならないと......)


目標地点が高すぎると思うが、これでこそ竜成だ。


「錨銛さん......俺と戦ってくれよ」


竜成が前に出る。


(根性あるな)


田中は何気ない顔でショットを呑んだ。


「あ? 冗談はせ」


「いいや、本気と書いてマジだ」


その時、錨銛の圧は最高点に達し、竜成を海の底に沈め込んだ。


海の重さが体を上から圧壊する。

海に扼喉(やくこう)され、息が持たぬ。

海の負荷が体の至る臓器を(ひね)り、(ねじ)り、()じ切る。


そんな感覚に貶められる。


「あいつ、馬鹿だ......」

「ああ、死んだな」

「獄長、やってやれ!」


圧に曝され、囚人たちは恐怖と興奮で満たされた。


「はぁ......若気の至りだか、なんだか知らんが、その蛮勇は認めよう。では、今から......客が転じ、敵対者と認識するが......いいな?」


「もちろん......っ?」


瞬間、竜成の体に錨の鎖が巻きつけられ、身動きが取れなくなる。


「ここは海だ。個性を出した者は淘汰され、排除される。肝に銘じると良い、大地の有り難みを」


そして、近くにある牢屋に放ち、竜成の意識を消し飛ばした。


「すまんな、ここに来る前に言ってたんだ。1回立ち会ってみろとな。本気でやるとは思ってなかったが、これで竜成は人一倍強くなるだろうさ」


「そういえば、本部から連絡が来たんだが、『予視』がお前の支部に送られてくるらしい」


「そうか......あいつならば、うちの支部を強化してくれるだろう」


------フクシマの空港にて。

爽やかな風が吹いていた。


「空気が美味しいな、フクシマは!」


男が紫の髪を靡かせる。

四天王『予視』フクシマ現着。



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