蜃気楼の恋をする
人それぞれ解釈が違う話を作ってみたくて作成させていただきました。
名前とか、その他の設定とか好きに決めて、読んでもらって大丈夫です!
「蜃気楼って知ってる?」
振り向くと、花の香りがした。
君は、手を後ろにやってちょっと首を傾げた。
「しんき……とう?」
「し・ん・き・ろ・う。ほら、遠くの景色が逆さまに見えるやつだよ」
君が見せてくれたスマホの画面には、有名な写真家が撮った写真が映し出されている。
「それが?」
「女心が分かってないな〜。…………一緒に見たいってこと!」
「嫌ですよ」
「ケチ」
これだから鈍臭い男は……、と君がブツブツ言うのを聞きながらポッケトに手を突っ込んだ。
手が、ポケットの中で何かにあたった。
「でも、君がそんなに行きたいならいいよ?」
隣に並んだ君を見て、無意識にそう言ってしまった。