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決着がつく話

前回までのあらすじ

廃墟の2階から燃えた矢が飛んできた。

それは、燃え盛る矢だった。


数秒前


「おい、あのジジイが逃げていくぞ!」


ヤロウはギンが逃げたことにいち早く気づく。 


「あの野郎、逃がすか!」


「でもどうやって?」


ヒナタがヤロウに聞く。 ヤロウには作戦があるらしい。


「お前とコザガのスキルを使うんだよ!」


「俺の?」


2人が同じ事を言う。 ヤロウは作戦を話し始めた。


「ヒナタは見ただろ? アイツは火に弱い! コザガのスキルで矢を出して、それをヒナタのスキルで燃やして、アイツにぶつけんだよ!」


「そんな事……」


2人は疑心暗鬼だ。 本当にそんな事ができるのか疑っている。


「いいからやるぞ!」


ヤロウが喝を入れ、2人はスキルを発動させる。 コザガ弓矢を出し、ヒナタが出した矢に火を点ける。


コザガは燃え盛る弓矢を構えながら、窓の外に身を出し狙いを定める。 だが……


「ぐっ……狙いが定まらねえ……」


コザガは手の熱さと緊張によって遠くにいるギンに狙いが定まらないようだ。 その上ギンは走っているので、なおさら狙いを定めにくい。


その時、一階から剣がギンに向かって飛んでくる。 トタロウが投げた剣だ。 ギンの胸に突き刺さる。


「今だ! コザガ!」


ギンは走るスピードが遅くなった。 やるなら今だ。


「おりゃあああ!!」


コザガが矢を放つ。 ギンはその矢を見て、一瞬動きが止まる。 そしてそれは、ギンの背中に命中した。


「ぎゃあっ!! 熱いっ!!」  


ギンはその場に倒れる。 服が燃え始め、ギンは火だるま状態になった。


ツルは倒れたギンに向かって走り出す。 走る間に剣を作り、ギンのもとへ一直線に走っていく。


「あぁあああっ!!」


ギンは悶えている。 時を戻すことすら忘れて。


そしてツルはギンの所についた。 剣を彼の背中に突き刺す。 それは貫通し、腹から剣の先が出てくる。


「ギャァァァ!!」


ツルは微かに存在を感じ取った。 腹の中にある時計だ。 ツルは剣をかき回し、時計を破壊する。


にぢゅっずチュッと言う柔らかい感覚の中に、一つだけ硬い感覚がある。 そこを狙っていく。


バキッ!!


ギンの腹の中から音がした、時計が壊れたのだ。 その瞬間、ギンの体は急激に老けていく。 時計が暴走しだした。


「あがっ体がっ……助けてくれ……」


ギンは命乞いをするが、もう衰えていく体を誰も治すことはできない。 背は縮み、髪は抜け、やせ細ったから体から骨が見え始める。


「あがっがあ」


ギンはもう何をいっているのかすら分からなくなった。 そして喋ることもできなくなった。 これがギンの最後の言葉になったのだ。


ギンの体から肉も皮も無くなり、骨だけになった。 やがてその骨さえも消滅し、ギンという存在はこの世から無くなった。


「ツルさん!」


トタロウと兵士たちがツルのもとへ駆け寄る。 兵士たちはギンが死んだことを確認し、廃墟の中へまた戻っていった。


ツルとトタロウ、兵士たちは廃墟の2階に上がる。 そこにはコザガ、ヒナタ、ヤロウの三人がいた。


「助太刀感謝する。 ケガはないか?」


「あぁ大丈夫……いでっ……」


ヤロウは足の方を見る。 今さら踵の痛みが襲ってきたのだ。


「かなり酷いな、お前たちの中に回復のスキルを持っていたやつがいる。 ソイツに頼もう」


ヤロウは2人に肩を貸してもらい、城へと帰っていった。


城から離れた洋館  


「あーあ、負けちゃったかぁ」


ブレクが残念そうに言う。 その様子を見ていたエスが冷や汗をかきながらブレクに謝罪する。


「申し訳ありませんブレク様……貴重な魔道具を無駄に消費してしまって……」


「んー? いやいいのいいの、かなり面白い物が見れたしね。 ギンにあの時計渡すって判断したの僕だし」


ブレクはポケットをまさぐり、何かを取り出す。


「よし、次はこれでも使おうかな」 


それは香水だった。 これも魔道具の一つだ。


「じゃあ、またエスにお願いするよ」


ブレクはその香水を投げ、エスに渡す。 エスは香水を見事キャッチする。


「はっ」


エスは洋館から離れ城へと向かっていった。


「さぁ、次はどんな面白いものが見れるかなあ?」


ブレクは頬を赤らめながら笑う。 それはまるで、無邪気な子供のようだった。







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