戦闘する話
前回までのあらすじ
2人が2階に逃げ出す、そこにコザガがいた。
「はぁ……はぁ……コザガ」
ヤロウは息切れしながら椅子に縛られているコザガを見る。 2人を見たコザガはとても安堵している表情をしていた。
「ふんっ!!」
コザガは椅子に縛られたまま倒れる。 ヤロウに頬をぶん殴られたのだ。 2人はコザガにまとわりつく縄を外し、コザガは解放された。
「やっと、殴れた……」
ヤロウはとても気持ちよさそうな顔をしている。 そんなヤロウにコザガは言う。
「あの……あの時のこと、ごめん……」
「……おう」
一階
「はぁはぁ……」
ギンは震えながら地面に縮こまっている。 やがて気持ちは落ち着き、なんとか立ち上がる。 そのタイミングで、トタロウとツル、兵士たちが廃墟に入ってきた。
「三人を返せ、ギン」
ギンは息を整えながら顔を天井に上げ、話し始める。
「二人だけならな、一人は犠牲になってもらう……許してほしいとは思ってないさ」
「ああ、許すつもりはねえからよ」
(スキル発動)
ツルはそう念じる。 するとツルの手から日本刀のような剣が出てくる。
ツルはギンへと一直線に走っていく。 剣をギンに振りかざすが、当たらなかった。 ギンは時を止め後ろに回り込む。
ギンも負けじとナイフをツルの腹に突き立てるが、これもツルの腕によりガードされる。 金属がぶつかり合った音がし、ギンはよろける。 その一瞬の隙をツルは見逃さない。
「ぐっ!」
ギンが小さい悲鳴を上げる、ギンの手から血が出て来た。 ツルの剣で手を切られたが、傷は浅い。
ギンはまた時を止める。 そして今度こそツルの腹にナイフが刺さる。
「ちっ……」
時がまた進み始め、ツルは腹からする痛みを感じる。 腹をナイフで刺されたと素早く判断し、次の攻撃を仕掛ける。
「ぶわっ!!」
ギンが叫び声を上げながら遠くへふっ飛ばされる。 ツルに顔を殴られたのだ。
ギンは痛む頬を撫でながら体勢を立て直す。 そうしたらギンの手から血が無くなり、傷も治っていく。
ギンは自分の時間を巻き戻し、手を再生したのだ。
ツルは気合で腹の出血を止め、ただ立っていたトタロウのもとに駆け寄る。
「もうアイツが使える時間はほとんどない。 あともう少しだ、お前の力を貸してくれ」
トタロウは頷き、ギンの方を向く。 そして……
(スキル発動!)
トタロウはそう念じ、少し力を抑えギンのもとへ突っ込んでいく。 あの時よりは制御ができるようになった、トタロウは自分の力でふっ飛ばされる事なくギンへ近づいていく。
(何だアイツは!?)
ギンは心の中でそう思う。
「おらっ!」
トタロウはギンの間近まで行き、ギンを殴ろうとするが、時を止められかわされる。
「おらっ! おらっ! おらっ!」
すかさず殴ろうとするが、全部避けられてしまった。 どんなに力が強くても、当たらなければ意味がない。
トタロウが殴った時の爆風により、近くにあったテーブルにヒビが入る。
(クソッ!)
トタロウは心の中でそう思う。 ギンは何とかトタロウの攻撃をかわし続けトタロウから遠くに離れてしまった。 その時、トタロウが閃く。
トタロウが目をつけたのはヒビの入ったテーブルだ。 トタロウはテーブルを引き裂き、遠くに離れたギンに投げつける。
ギンは飛んでくるテーブルの破片をなんとか避けるが、避けた先に剣を構えた兵士がいた。
「ぎゃあっ!!」
ギンはまた叫ぶ。 兵士に切られた、血が噴き出している。 今度はかなりの重傷だ。
「あがっあがっがあっ」
ギンは悶える。 兵士がとどめを刺そうとしたその時、トタロウが投げたテーブルの破片が頭に当たってしまった。
兵士は剣を落とし倒れる。
「すいません!!」
トタロウは兵士に謝る。 兵士は幸い軽いけがですんだが、ギンにまた逃げられてしまった。
そして、ギンが廃墟から消える。 ツルは慌てた様子で外に飛び出す。
「あのやろっ……また逃げやがった……」
ギンは残り少ない時間を振り絞り外へ逃げ出した。 もう大分遠くへ離れている。
(まずい……このままじゃ逃げられる!)
トタロウが次にした行動は……
「ツルさん!! 剣を貸して下さい!」
「お、おう」
トタロウはツルから剣をもらい、ツルの剣を手で曲げていく。
そして、またギンへと投げつけた。 ギンはそれをかわす、だが……
(!?)
かわしたはずの剣が、ギンの胸に刺さった。
剣を曲げたことにより、剣がブーメランになったのだ。 しかし胸には刺さったものの、そんなに深く突き刺さってはいなかった。
走る速度はそのままだ。
(こうなったら追いかけ……)
トタロウは走ろうとするが、すぐに止まる。 あることに気づいたのだ。
(体力が……もとに戻った!?)
トタロウの体力がもとに戻っているのだ。 またスキル発動しようとしても、それは変わらない。
「マジックポイントがきれたか……」
どうやら必要なマジックポイントを全部使ってしまったようだ。
トタロウの能力付与は必要マジックポイントが5、トタロウが1日に使えるマジックポイントは今のところ65だ。 この能力は1秒間に5ポイントを消費してしまうため、1日に使える時間はかなり短い。
もうトタロウは1日分のスキルを使いきってしまった。 今度こそ逃げられてしまう。 全員がそう思ったその時、廃墟の2階から何かがギンに向かって飛んでくる。
それは、燃え盛る矢だった。
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