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仲間が捕まる話

前回までのあらすじ

コザガが何者かによってさらわれた。

「なぁ、キン……お前も俺が死ぬのは嫌なはずだ」


キンは黙る。


「だから……何人もいるんだ、一人くらいもらっても良いだろ?」


キンに話しかけているのは、あの洋館で時計を貰った老人だ。 その姿はキン国王に少しにているが、それより老けている。 顔には大きな火傷痕がある。


キンはやっと口を開く。


「それで……その子供はどうなる?」


老人は少し笑いながら答える。


「はは、お前もあの魔道具について知ってるだろ? 勿論子供は死ぬ」


「じゃあ認められない。 コザガを返せ、ギン」


その老人の名前はギンという。 キン国王の兄で、コザガをさらった張本人だ。


「だったらこのまま寿命が来るのを待てっていうのか?」


ギンは怒ったようにキンに聞く。 もうすぐ寿命らしい。 何をするのかは分からないが、その寿命をどうにかするためにコザガが必要なようだ。


「彼は皆から恨まれてる……俺なりの善意だ、なぁ……認めてくれよ」


ギンは頼み込むが、キンの答えは変わらない。


「できない、誰一人欠けてはならぬ。 この世界の命運が……あの子たちにかかっておるのじゃ」


キンの隣に立っていたツルはしびれを切らしたように火を点ける魔道具を取り出し、ギンの顔に向ける。


「またあの時みたいになりたいか? そこまで言うならここで終わらせてやる」


「ひっ! やめてくれよ……悪かったからさ……」


「やめろ、ツル」


ツルはキンに言われ、しぶしぶその魔道具をポケットに戻す。


「申し訳ありません、キン国王」


ギンは体を震わす、そうして拳を腹に叩きつけ叫ぶ。


「えっほえっほ……もういい! 話をしようとしたが無駄だった! 俺は帰る!」


ギンは出口へ走っていく。


「今だ! 出てこい!」


ツルがそう叫ぶ。そうしたら出口が開き、大量の兵が王室へ入ってくる。 ギンを捕まえるつもりだ。


「!?」


全員がそう思う、いつの間にかギンの姿は消えていた。


(発動……された……!)


ツルは悔しがる、そして次のことを考える。


(なぜだ!? 荷物チェックした時に時計は持っていなかった! どこだ!? どのタイミングで発動した……!)


(……!)


ツルは何か閃く。


(まさか、あの自分の腹を叩いた時……発動された……? じゃあまさか時計は……腹の中……!?)


ツルは考えを巡らせるが、コレだと言う答えは出てこない。 ツルの熱を冷ますようにキンが話しかける。


「じゃあ、予備作戦にうつろうとするかの」


ツルはキンの声を聞き、だいぶ落ち着いたようだ。


「そうですね……もう出てきていいぞ」


ツルは柱に呼びかける。 柱の奥から人が出てくる。 それは先生だった。


「ちゃんとできたか?」


先生は答える。


「はい……記録できました」


「今地図を持ってくる、そこにいてくれ」


ツルは王室から離れた図書室に行き、地図を持ってくる。


ツルが地図を持ってくる前に、キンが先生に話しかける。 

 

「どうだい、新しい世界には慣れたかい」


「まぁ……一応。 ツルさんと話して、だいぶ楽にはなりました」


「そうか、良かった」


キンは安心したように笑う。


ちょうど話が終わったタイミングでツルが王室に入ってくる。 ツルはかなり大きな地図を地面に広げ、現在地を指さす。


「ここが今俺たちがいるところだ。 タケシ……今あのジジイはどこに逃げてる?」


先生はギンが今逃げているところを指さす。 先生のスキルは地図……頭の中に地図を広げることができ、最大三人まで記録した人の行方を調べることができる。


「森を抜けた先か……この先にかなりデカイ廃墟が一軒ある。 多分そこに行くつもりだ……だとしたらコザガもそこに……」


「コザガがいる場所が分かるのか!?」


「いや、ただの予測だ。 あの辺は凶暴な野生動物も多いから身を隠せる場所があったほうがいい……」


ツルはキンにあることを聞く。


「もう時間がありません。 考えてる暇はないです。 心苦しいですが、ヤツを……殺すしか」


「まぁ、そうだろうな」


キンは下を向きながらそう答える。


「さぁ、出撃の準備をしてくれ」


「はっ」


兵士は武装を始める。 アイツは強敵らしい、ツルも準備している時……先生がツルにこう聞く。


「私も連れて行ってくれないか……腐っても私は教師だ、だから」


自分を連れて行ってくれないかと相談するが、話し終わる前に遮られる。


「いや、お前はここにいろ。 お前のスキルは戦闘向きじゃないし、もう充分働いた。 いい知らせを持ってくるのを楽しみにしててくれよ」


先生は下を向き、数秒経ったあとに返事する。


「……わかった」


数分後……


「全員、武装が完了しました。 では出発します」


「あぁ、心してかかってくれ、ヤツは強敵だ」


王室を出て、外に出ていく。 ツルと兵士たちは、薄暗い夜の中を進んでいった。


ホテルの部屋


「コザガ……帰ってこねーな」


ヤロウがヒナタに話しかける。 ヒナタもそのことについて頷く。


「家出ってやつか? まぁ家じゃないんだがここは」


ヤロウは窓から景色を見る。 今の時間は七時、外は薄暗くなっている。 あともう少しで完全に暗くなりそうだ。


ヤロウはあることに気づく、城から兵士が出ていくのだ。 そしてあることを考える。


「もしかして、コザガを連れ戻しにいってんのか?」


ヒナタも窓の外を見る。


「でも、連れ戻しに行くっていうか……なんか重装備じゃないか? 剣とか持ってるし……」


「うーん……」


「まぁあいつらに付いていけば分かるんじゃないか!?」

 

ヤロウはすごい事を思いついたように自信満々に答える。


「付いてくって……あれに?」


「そう」


「ええ〜っ……」


ヒナタはあからさまに嫌な顔と困惑した顔をする。 ヤロウは言葉を続ける。


「まだ落ち着いてねえんだよ、今もずっとイライラフツフツしてる」


「もしあいつらが本当にコザガを連れ戻しに行くんだったら、俺らもコザガを見つけて……見つけ次第ぶん殴ってやろうぜ」


「ぶん殴ることには賛成だけど、今の俺らの力じゃなんかあった時にどうするんだ」


ヤロウは笑うのをやめる。


「確かに、お前のスキルはちょっと炎が出てくる。 俺のスキルは蹴りが強くなる……」


ヤロウはまたニカッと笑う。


「なら、助っ人を呼ぼうぜ」


トタロウの部屋


トタロウの部屋のドアを誰かがノックする。 トタロウはドアを開く、そこにはヤロウとヒナタがいた。


「よぉトタロウ、俺らの助っ人になってくれ」


「……?」


















お読みいただきありがとうございます!

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