ウーフと戦闘する話③
前回までのあらすじ
戦闘した。
地面にはバラバラになったウーフの頭と、頭がないウーフの体が転がっていた、皆は戦いで負った怪我を治そうとカイフクを探そうとする。
ウーフの周りを覆う氷はしだいに溶け始めた、中から水浸しのウーフの体があらわになってくる。
ここで、ノシャがある違和感に気づいた、それは……
(? 今……動っ……)
ノシャの目にはウーフが動いたように映ったのだ、ノシャは確認しようとウーフの目の前まで近づく、その時だった。
頭と心臓が無いウーフの体が、いきなり手をグンと挙げたのだ、そのままその手をノシャに近づける。
ノシャは落ちてくる手を間一髪で避けた、皆がウーフの方を一斉に見る。
「えっ……今……動いてっ……?」
「どういう……事?」
皆困惑している、ウーフは死んでいるはずなのだ、死んでいなきゃおかしい。
だがウーフは手で体を支え、ゆっくりと起き上がった、皆はその事実に驚愕する。
リュウとガンガンは急いでウーフの足へ向かった、リュウはウーフの左足に噛みつき、ガンガンはウーフの右足をその硬い体でぶん殴る。
ウーフはまた地面にうつ伏せで倒れた、背中にヤロウとヒナタとコザガの三人が乗る。
ヤロウは肩部分を思いっきり蹴った、ゴリュッと骨が折れる音がする。
ヒナタは炎を発生させウーフの体をさらに燃やした、三人は背中から離れる。
コザガは背中から離れたあとウーフの体に矢を何本も放った、ウーフの体中に矢が突き刺さる。
「コイツっ……なんで生きてやがる!?」
「わからねぇ……でもっ……!」
「今はこうするしか……!」
ウーフはうつ伏せで倒れたままだ、今度こそ死んだのかそれともまだ生きているのか全く分からない、三人は攻撃し続ける。
その時だった、コザガは腹に違和感を受ける、その違和感はどんどん痛みに変わっていく、コザガは腹の方を見るとバラバラになったウーフの頭の破片の口部分がコザガの腹に刺さっていた。
「なっ!?」
コザガの腹に深く突き刺さる、コザガは矢を放つのをやめこれを腹から離すのに集中した。
このウーフの破片は上顎部分と失明した方の目が繋がっている、その目はまるでコザガを睨んでいるように見えた。
コザガは高まっていく痛みに耐えられなくなり腹に突き刺さっている牙を無理矢理引き抜いた、腹から血が滝のように噴き出す。
コザガはその場に倒れる、ウーフの破片は近くにいたリュウに飛びつき尻尾に噛み付いた。
「離れろっ……!」とリュウが言いながら尻尾をブンブン振り回しウーフの破片を離そうとする、やがてウーフの破片は投げ飛ばされた。
投げ飛ばされた先にはハクレイがいる、ハクレイはウーフの破片がこっちに来た瞬間スキルを発動させた、どんどん破片が凍っていく。
数秒して破片は完全にまた凍った、ハクレイはその凍った破片を地面に叩きつけより一層破片はバラバラになる、その後この破片が動くことはなかった。
だがまだ安心できない、目と鼻が繋がっている破片と、下顎部分の破片がいる。
下顎の破片はキキとキワミとヤミクモコウのいる所に飛びつき、目と鼻の破片はギョロギョロと周りの様子を観察していた。
次の瞬間目と鼻の破片の視界が真っ暗になる、そのちょっと前は岩の足のようなものが映っていた。
ガンガンが目と鼻の破片を踏み潰したのだ、地面に血と脳みそが飛び散る。
ガンガンは破片を何度も踏みつけた、何度も何度も、やがて破片はぺちゃんこになったのだった。
三人に噛みつこうとしていた下顎の破片が急に活動を停止する、目と鼻の破片が潰されたせいで三人の存在を感じ取ることができなくなったようだ。
だがまた動き始める、ただの勘で三人を探しているのだ、下顎の破片は勘で飛びついた、その先にはキワミがいる。
(スキル発動!)
キワミは体を光らせ目眩まししようとするが下顎に目はついてないのでもちろん効かない、下顎は気にせずキワミに飛びつこうとしている。
「危ないっ!!」 とヤミクモコウが言いキワミに飛びついた、キワミとヤミクモコウは地面に倒れ下顎の噛みつきから回避する。
下顎はズッシャアアアアと地面を滑りまた三人が何処にいるのか勘で飛びつこうとする、キキは下顎が飛びつく前に持っていたレーザー砲を使って下顎を殴った、下顎は殴られた衝撃で壁に激突する。
下顎は数秒間壁に留まったあとボトッと落ちた、それがヤロウの目に映る。
ヤロウは下顎に向かっていき思いっきり蹴りつけた、下顎は粉々に弾け飛ぶ、下顎の血や肉がヤミクモコウの顔と壁に張り付いた、ヤミクモコウは「うわっ……」と言いながら顔についた血をゴシゴシする。
「すまんっ……」
ヤロウが申し訳無さそうにヤミクモコウに謝った、ヤミクモコウは「いや、大丈夫大丈夫」と言いながらまた強くゴシゴシする、どう考えても大丈夫じゃなさそうだ。
上顎も、目と鼻も、下顎も動かなくなる、これでウーフの頭部分は完全に停止した、残るは身体部分だけだ。
体はうつ伏せになりながらヒナタのスキルによりぼうぼうと燃え盛っていて、体中に矢が突き刺さっている、これじゃ死んでいるのか生きているのか分からない。
だがそれはすぐに分かった、ウーフの体はすぐに起き上がったのだ、ウーフの体の火がどんどん消える。
コザガは地面に倒れながら矢を放った、胸に何本か突き刺さるが全く効いている様子がない、ピンピンしている。
ウーフはコザガに近づきコザガを持ち上げた、コザガに残り火が当たりコザガは「熱っ!!」と叫ぶ。
ウーフはより強くコザガを掴んだ、コザガはウーフの大きい手に潰されて動けなくなる、そのまま握り潰すつもりだ。
「ぐっ……おおおああっ……」コザガは悶える、骨の音がミシミシと聞こえる、潰されるのも時間の問題だ。
だがウーフはコザガを離した、何か手に痛みを感じたからだ、そこにはナイフを持ったノシャがいた。
ノシャはウーフの足にナイフを突き立てる、そしてそのままウーフの足の爪を切り取っていった。
ウーフの鋭い爪がボロボロと転がる、ノシャは反対の足にも行きまた同じように爪を切り取っていった。
ウーフはノシャを掴もうとする、ノシャはその近づいてくる手に乗り手の爪も切り取っていった、反対の手に飛び移り同じように切り取っていく。
ボトボトと手の爪も転がる、やがてウーフの爪は全て無くなった、ノシャはウーフから離れ皆にある作戦を話す。
「皆! 一つだけ攻撃してないところがある! それは体の中だ!! 体の中を滅茶苦茶にすればコイツは死ぬかもしれない!!」
ノシャが言うには、体の中に入り滅茶苦茶にするのだ、作戦としては首の中か大きく穴の開いた心臓部分のどちらかから体の中に入りナイフでメッタ刺しにする、という訳だ。
ルイカにはもう既に話している、ルイカはスキルを発動させ、ノシャを持ちながらウーフに突進した。
ルイカは突進の勢いでノシャを投げ飛ばす、ノシャは首の上に乗った。
「うおおっ!!」
ノシャはナイフで首の中部分をメッタ刺しにする、ウーフはノシャを掴もうと来てくる、そのウーフの手をかわしながらノシャは首の中を刺し続けた。
だが手応えがない、それに足場が不安定だ、ノシャは何か別の案がないか刺しながら考える。
「ルイカ! コイツを転ばしてくれ!!」
ノシャはルイカにそう頼んだ、ルイカはウーフの足に突進する、ウーフは突進の衝撃によりバランスをなくし見事に転んだ、ウーフは四つん這いの状態になる。
ノシャはまたあることを思いついた。
「ハクレイ!! コイツの手と足を凍らせてくれないか!?」
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