勇気を出す話
前回までのあらすじ
討伐した。
(ゴウカイ……! 俺を探しに来たのか!?)
ヒソムは体を石の姿に変えゴウカイから逃げようとする。 ゴウカイはあちこち見て回りながらヒソムを探していた。
「ヒソムー! どこだー!」
ゴウカイはそう叫ぶが、ヒソムは出てこない。 ゴウカイは洋館の方へ帰ろうとし、ヒソムはその事にホッとした。
(いや、待て。 もしかしたら行けるかもしれない……)
ヒソムは何かを思いつき、変装を解除した。 ゴウカイが後ろを振り向くと、そこにはゴウカイの事をを見つめるヒソムが立っていた。 ゴウカイは安心した表情でヒソムを見る。
「ヒソム……! どこに行ってたんだ。 帰ろう、早く治療しないと」
ゴウカイは喋るが、ヒソムはまったく話を聞いていない。 ゴウカイが一通り話し終えたあと、ヒソムも話し始めた。
「ゴウカイ……さん。 俺と一緒に逃げないか? このままじゃ俺は殺される。 そしてゴウカイさんもいつかは……」
「残念だが、それはできねえ」
「! どうしてっ……」
ゴウカイは真剣な表情でヒソムの提案を断った。 ヒソムの顔色がどんどん悪くなっていき、動悸も速くなっていった。
「ヒソム、帰ろう」
「嫌だっ!! 嫌だ嫌だ嫌だ……」
「俺と二人で逃げ出して……それからどうするってんだ?」
「もし……飢え死にするとしても……アイツに殺されるよりマシだ!!」
地面に大きい水の粒がボトボトと落ちる。 ヒソムは涙が溢れないように目を瞑り、ゴウカイが見えなくなる。 途端、ゴウカイのヒソムを見る表情が変わった。
「ヒソム……今ブレク様を侮辱したか?」
「え?」
ヒソムの涙が一瞬止まり、ゴウカイの顔がヒソムの目に映る。 そこには憤怒の表情をしたゴウカイが立っていた。
「今!! ブレク様を侮辱したかと聞いているんだ!!」
ゴウカイは凄まじい声量で怒号を上げる。 ヒソムはゴウカイが何を言っているかが一瞬分からなかった。 数秒してゴウカイがこんなにも怒っている理由を理解した。
(ゴウカイも……おかしくなっちまったのかよ!?)
ヒソムは部下になり幹部達を見た瞬間から少し疑問に思っていた。 なぜ幹部達はブレクの事をこんなにも慕っているのか。 確かにブレクは衣食住をくれた、それがどんな人でも、部下である以上は。 最初ヒソムもブレクの事をヒーローだと思っていたが、それはほんの一瞬だ。 すぐにしてブレクのイメージは悪くなっていった。
だが幹部達はいつまでもブレクの事を慕っている。 ザンジは特に、ザンジ程ではないがウーフもだ。 その中でゴウカイだけは2人とは違うと感じた。 だからヒソムは勇気を出しゴウカイと一緒に逃げないか提案したのだ。
しかし、2人で逃げて暮らしていくなんて幻想はもう無い。 あるのは怒りに震えるゴウカイと、それに怯えるヒソムだけだ。
「お前がそう言うなら、もうこうするしか無いってこった!!」
(来る!!)
ゴウカイが背中に背負った斧を構えながらヒソムに飛びつく。 ヒソムは斧を間一髪で避け、また石となりゴウカイから姿を消した。 ゴウカイは血眼でヒソムを探す。
「どこだ……!? 何処に行った……!?」
ゴウカイは斧を背中に戻し、直立した。 ヒソムはコレから何をするのか心配になりながらゴウカイを見る。
「スキル発動!!」
どぉっ。 とヒソムの心臓が鳴る。 ヒソムは思わず変装を解き宙に浮いた。 その隙をゴウカイは見逃さず、斧でヒソムをぶん殴る。
「がっ!!」
ヒソムは血を噴き出しながら吹っ飛んでいく、ヒソムは木にぶつかり止まった、ヒソム自身も心臓も。 ゆっくり命が終わっていく。
(どうして……だよっ……)
ヒソムは気を失っていく中コレだけを考えていた。 ヒソムの目には斧を持ったゴウカイが映る。 これがヒソムの最後に見た景色だった。
「ヒソ……厶?」
ゴウカイがあり得ないものを見る目でヒソムだった物を見る。 ゴウカイの心のなかに何かが溜まっていき、それが満杯になり溢れゴウカイは叫んだ。
「うがあああああああっ!! ヒソム!!」
ゴウカイの涙がヒソムの死体にポトポトと落ちる。 その涙によってヒソムが目を開けることは無かった。 ゴウカイは人の気配を察知し、後ろを振り向くとブレクがいた。
「ブレク様!! 俺は……ヒソムを……!」
ゴウカイは必死に話そうとするが、泣き叫んでよく聞こえない。 ブレクは優しく笑い、ヒソムの死体に近づいた。
「大丈夫だよ、ゴウカイ。 ヒソムも……お疲れ様」
ゴウカイはブレクに催促され洋館へと帰っていった。 森にはブレクとヒソムの死体が残る。 ブレクはヒソムの死体を触り、ヒソムの死体は消滅していった。
(ゴウカイも……なったね……)
ブレクはポケットから空の瓶を取り出し、またその瓶も消滅する。 ブレクは上を見上げ、不気味に笑う、ブレクは何かを決めたようだ。
(そろそろしようかな……世界征服)
(あまり待たせると、兄さんたちに失礼だしね。 それに、あの子にも会いたい、トタロウ……って言ってたっけ)
(会うのが楽しみだなあ……!! 僕の下位互換)
お読みいただきありがとうございます!
「面白そう」「続きが読みたい」と思ったらブックマーク、下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくれると嬉しいです!
感想と誤字報告もお待ちしております!




