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外れスキルだと思ったら実はチートスキルだった話

前回までのあらすじ

トタロウが貰ったスキルは、多分絶対弱いやつだった……

(多分、絶対外れスキルだ……!)


トタロウは心の中でそう思った。


ツルがトタロウのカードを奪い取り、どのくらいの強さか解説を始める。


「ええっと……成る程成る程、パワー、ガード、マジックポイント、それぞれ普通……スキルは能力付与で全ステータスに0.1追加、0.1?……0.1……必要マジックポイントは、そんなに低くもない……」


どんどんツルの顔が曇っていった。


「ま、まぁスキルだけで強さが決まるわけじゃない……頑張れよ」


トタロウのスキルは弱い……そう認められた。


「全員のスキル鑑定が完了した。 これよりこれから暮らすことになる部屋に案内する」


トタロウはツルに気になったことを質問する。


「あの、0.1追加ってどれくらいの強さなんですか?」


「勘がいい人なら気づくぐらいだ」


(弱っ……)


ツルはトタロウのもとを離れるが、また少しして戻って来る。


「いや、ちょっと待て、それ……いややはり何でもない」


(?)


またトタロウのもとを離れる。 トタロウはモヤモヤが残ったまま、自分の部屋へと案内された。


ツルがサーベの隣に立つ。


「ねぇ……あの子」


「黙れ」


________________________


トタロウたちはまた一列に並び、ホテルのような場所を歩いている。 ここがトタロウたちのこれから暮らすことになる部屋だ。


「トタロウくーん、これが君の鍵ね」


ドーソに鍵を渡され、鍵に書かれている番号と同じ25番の部屋へ行く。


隣の24号室にはルイカ、23号室にはノシャがいた。


「おっ、隣同士じゃーん」


ドアの前に立っているルイカがトタロウに話しかける。


「よぉ、さっきぶりだな。 それより……スキル何もらった?」


「なんか、まあまあ強いヤツらしいよ?」


「そうか……」


トタロウは黙り、自分の部屋へと入る。 部屋の中は高級ホテルのようだ。 広くはないが、一人で過ごすには充分すぎるだろう。


入ってすぐ数百万はしそうなベッドが目に入ってきたので、そこへ飛び込む。


自然と体が仰向きになっていき、トタロウはこんなことを思う。


(これから……どうなんのかな。 なんか一気に疲れてきた、眠い)


トタロウはゆっくり眠りにつく……前に。


玄関の方で音がした。 トタロウは思い体を起こし、玄関の方へと向かう、玄関のポストに手紙が入っている。 それは今日とこれからの日程が書かれていた。

________________________

これより、18時から23時までは自由行動となる。 

明日の日程

6時 起床

7時 朝食

8時〜17時 異世界内見学

18時〜23時 自由行動

24時までに就寝

________________________

読み終わった瞬間手紙は跡形もなく消える。


(今もう夜なのか、特にやることもないし辺りを散歩でもしよう)


トタロウはそう思い、部屋を出る。 そして同じタイミングでルイカとノシャも部屋から出てきた。


「あっトタロウとノシャも外に出るの?」


「そうだ、やることなくて暇だしな」


「うん、僕も」


三人で散歩することになり、部屋にあった地図を見ながら、外に出ていく。


道中にはトイレ、兵士たちの部屋、大浴場、王室がある。 


階段を降り一階につくと大きいドアがあり、そのドアは開いている。 後ろを見るとトタロウたちのいた大きい城が見えた。


そこから外に出ると、すぐそこに森があった。 外は冷たい風が吹き、三人は少し震えながら歩いていく。


三人は整備された道を歩いていく、どことなく不気味な場所だ。 なぜ不気味かはすぐに分かった。


「なんかここらへんの木……ボコボコしてない?」


ここは一体の木は誰かに殴られたように歪な形をしている。 なぜそんな形をしているのかもすぐに分かった。


「訓練場……って書いてあるよ?」


三人のすぐそこに看板があり、そこには訓練場と書かれてあった。 歪な形をしているのは、兵士たちのサンドバッグにされているかららしい。


ルイカがこんなことを言う。


「ねぇ、ここで私たちのスキルを試してみない?」


「そんな事して大丈夫なのか?」


「いやいや、好きに使っていいよ〜」


後ろから声がする。 振り返るとそこにはサーベがいた。


トタロウはサーベに質問する。


「でも、こんなバンバンサンドバッグにして大丈夫なんですか? なんか……見栄え悪いっていうか……」


「あぁ……大丈夫大丈夫、すぐに治るから」


「治っ……?」


そう言いかけた瞬間、周りの木が1人でに動き始める。 やがてその木たちは元の美しい姿に戻っていく。


「面白いでしょ、この木たちは戻るたびにどんどん強くなっていくの」


サーベは最後にこう告げる。


「せっかくだし、スキルの練習でもしていかない?」


トタロウは木の前に立っている。 が、あまり浮かない顔をしている。 当然だ。


(こんなスキル鍛えたところで……)


そう思いながらもスキルを発動させ、手始めに木に触れる。


バキッ


(バキッ……?)


手の方を見てみると、木の幹が潰れている。 トタロウの力はとても人間だとは思えないほど強くなっていた。


(なんだコレ……これが本当に0.1の力なのか? いや、そんなはずは……)


トタロウはその木を軽く殴る。 そうすると……


木に風穴があいた。


これがトタロウの力であることは、間違いないようだ。


「ふああ、疲れた〜」


ルイカとノシャがトタロウの前に現れ、2人は木に空いた風穴を同じタイミングで見る。


「これ……トタロウがやったの?」


信じられない様子でルイカがそう聞いてくる。 


「ん!? ん〜ま、まあ……そうだ? 多分……」


トタロウはそう答える。 自分自身もこれをやったとは思えないらしい。


「凄いじゃん!!」


ルイカは目をキラキラさせてトタロウに近寄る。 


「どうした、俺の顔になんか付いているか?」


「いや、何でも?」


そう言うとルイカはトタロウから離れ、一目散にホテルへと向かっていった。


「おい待てよ〜」


トタロウはルイカを追いかける。


「ちょっと、僕も〜」


ノシャもトタロウたちを追いかけていった。


トタロウは部屋につき、自分の部屋へ入ろうとするとルイカが隣の部屋から出てきた。


「ん? またどこへ行くんだ?」


「ん? ちょっとトイレに……」


「いやトイレならここに来るまでにあったろ、ホント馬鹿だなお前……」


「ん?」


「ん?」


________________________


トタロウたちのいる城から離れた動物すら近づかない気味の悪い洋館がある。


そしてその洋館に6人が住んでいた。


1人は王のように椅子に座っている、5人はその王のようなものにひざまずいている。


その王のようなものは優しい顔つきだが、目には光がない。 


名をブレクという。


彼こそが、世界を滅ぼしかねない敵になる男だ。


ブレクは左端にひざまずいているこの中で一番地味な格好をしている男に質問する。 


「どうだった? ヒソム」


「はっ、彼の力は本物です。 ブレク様……彼は私たちの邪魔になりかねない。 早いうちに始末したほうが……」


ヒソムという名の男はそう答える。 どうやら、さっきの森にいたルイカはヒソムだったようだ。


「うん、早めに始末しておく……分かる、それも分かるよ? でもねヒソム、まだ彼は殺すべきじゃない」


「それじゃあ……つまらないんだよ」


「申し訳ありません……ブレク様」


ヒソムは深く頭を下げる。


「あともう少し、あともう少しなんだ。 あともう少しで……面白い物が見れる……」


ブレクはそう言い、不気味な顔でずっと笑い続けた。

















お読みいただきありがとうございます!

「面白そう」「続きが読みたい」と思ったらブックマーク、下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくれると嬉しいです!


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