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クラスメイト全員で異世界転生する話

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ジジジジッジジ


ノイズの混じった音声が聞こえる。


「世界番号80、到着いたしました。 勇者候補約30名、これより転生を開始します」


ジジジジッジジ

ジジジジッジジ

________________________


ある男がいつも通りドアを開け、教室に入る。 その男とは今作の主人公、千井ちい 途太郎とたろうだ。


彼の特徴は……特に何もない。 センター分けの髪、平均的な身長と体重、ちょっと無口なところぐらいしかない普通の少年だ。


トタロウは自分の席に行き、彼の机に座っていた明馬あかば 累歌るいかに挨拶する。


彼女は茶髪のポニーテール、いつでも明るい元気な子だ。 あまり頭はよろしく無い。


「よお、ルイカ」


「おはートタロウ」


トタロウは自分の席に座る。


「あれ? どこいった?」


「後ろだ後ろ、馬鹿」


「今馬鹿っつった? あれ? いないじゃん」


「下見ろ下」


トタロウとルイカは毎日こんな感じのやり取りをしている。 そしていつも通り、もう1人の男がトタロウとルイカに近づく。


「おはようトタロウ、ルイカ」


友達の清悠 乃者 (しんゆう のしゃ)だ。 


彼は中性的な顔立ちをしている、頭もそれなりに良く、それなりにモテる。


「はい皆席につけー」


担任が教室に入ってきて出席をとり始める、そうしていつもの学校生活が始まる。 12時までは。


(ふあ……ねむ……)


トタロウはうたた寝している、数学の授業はよく分からず退屈らしい。

 

(早く終わんねーかな……)


いつも通りそう思っている。 これで最後とも知らずに。


「!?」


次の瞬間、全員がそう思った。 全員が全員、窓の方を向いた。 鼓膜が破れそうな大きい音によって、トタロウも目を覚ます。


「……は!?」


次にトタロウにかかったのは、血しぶき。 その血はノシャのものだった。 ノシャは大きい何かによって体を潰されたのだ。 その大きい何かは、トラックだった。


クラスメイト全員、喋ることができなかった。 そして次のことを思う。


なんで4階の教室にトラックが!?


そう、ここは4階だ。


トラックに運転手はいない。 1人でに動いて、4階の教室に突っ込んできた。


「ルイカ! 危ない!」


トタロウはこんな状況にもかかわらず爆睡しているルイカをトラックの遠くに思いっきり投げ飛ばす。


「きやっ!」


ルイカは目を覚ます、寝起きで入ってきた光景は、血塗れの教室だ。


みんな死んでいる。 仲の良かった友達も、あまり喋らないクラスメイトも、ノシャも……トタロウも……


そして……ルイカ自身も。


トラックによって潰される、これで教室に生命は完全にいなくなった。


ただの異臭を放つ、たんぱく質の塊を残して。


________________________


トタロウたちはまた目を覚ます、そこは彼らの知っている世界ではなかった。 


そこはどう考えても日本ではない、ファンタジーで見るような王室だ。 これまでのことを考えるとここは……


(なんだここ……死後の世界か?)


トタロウはそう思う、だが数秒後それは否定された。


「ここは、死後の世界ではない」

 

「ここは、お前たちにとっての異世界だ」


(異世界……?)

 

トタロウたちは起き上がり声のする方を向く。 そこには四人の人がいた。


玉座に座る王様と、その周りに立っている三人の兵士だ。


王様はトタロウたちを見るなり、謝罪した。 驚くクラスメイトたちなんか気にせずに。


「すまない……! こうなったのは私の責任だ!」


王は白に染まった髪をこちらに向け、震える体でトタロウたちに謝罪する。


「どうかこの老いぼれがやったことを……許してはくれないか……!」


「さっきのは……お前らがやったっていうのか!?」


クラスメイトの一人が叫ぶようにそう質問する。


「そうだ……!」


王はそのクラスメイトに目をやり、そう答える。 さっきのトラックは、この人たちがやったらしい。


「なんっでっ……! なんでそんな事した! おい! 答えろ! 答えろよっ!」


そのクラスメイトは涙まじりでそう叫ぶ。 彼の名は伊切 夜郎(いきり やろう)、ツーブロックの髪で、身長は平均より少し小さい。


「もうすぐ部活の試合があったんだ! 俺にとっては大っ事大っ事な試合だ! それが? 全部パアになったっていうのか!?」


「すまない……」


王はそういう。 言葉にはしなかったが、そう認めた。


ヤロウはゆっくりと王に近づく、殴るつもりだ。


「落ち着け、ヤロウ」


しかし葛野 古座賀(くずの こざが)中村 陽向(なかむら ひなた)という二人の友達によって止められる。 


少し落ち着いたのか、王と距離を取る。


「まだ、帰れる方法があるかもしれないだろ」


ヒナタがそう言い、ヤロウは完全に落ち着いた。


「これからは、この者たちによって説明される」


そう王が言い、三人の兵士が前に出てくる。 背の高く細身な目力の強い男性の兵と、元気そうな糸目の女性の兵と、優しそうな顔つきの男性の兵だ。


「それぞれツル、サーベ、ドーソだ」


「おっと、申し遅れた。 我の名はキン国王だ」


まず最初に口を開いたのは、ツルだ。


「これより説明を行う、心して聞いてくれ」


次にサーベ。 


「ちょっとツルちゃん……言い方悪いって。 大丈夫大丈夫、怖くないからね?」


最後にドーソ。


「う〜ん……そうかなあ……充分心して聞くべきだと思うけど……」


「ドーソちゃんまで……」


こうして三人による説明が始まった。


________________________

まずこの世界には”勇者”という者がいる。 勇者という者の力は強大で、どんな敵が来ようと倒すことができる。


俺もまだ見たことないが、その勇者になれる器、勇者候補がこの中にいるのだ。


本来勇者はいなくても問題はない、しかし……


そう遠くない未来、この世界を滅ぼす敵が現れるの、その敵は勇者でなければ倒せないほど強い。


だから、君たちをここに連れてきたんだ。


________________________


「…………………」


全員、黙っている。 状況の判断ができていないようだ。


しばらく時間がたったあと、クラスメイトの女子、愛上 御柿(あいうえ おかき)が質問する。


「元の世界に帰ることって、できるんですか?」


「できないことはない」


「だがそれは、敵を倒したあとだ」

 

「それまでに……死ぬ……可能性は?」


「ないとは言い切れない」


また皆、黙ってしまった。 敵と戦って死んでしまう可能性はおおいにある。 だがその敵を倒さなければ元の世界へ帰ることはできない。 理不尽、誰もがそう思った。


「なぁ……その敵倒せば、試合始まる前に帰れるか?」


ヤロウがツルにそう質問する。


「もちろんだ、まだ確定してるわけじゃないが、元の世界に戻るときはお前たちが死んだ少し前に戻る……はずだ……」


「じゃあ、その敵ぶっ倒す方法早く教えろ」


「分かった、これからスキル鑑定を行う。 一列に並んでくれ」


皆一列に並んでいく、トタロウは一番最後だ。 最前列は遠くて何をしているのかはよく見えない。


トタロウの前にはルイカとノシャがいる。 ルイカが後ろを振り向き、トタロウに話しかける。


「ねっ、スキルって何になるかな? そもそもどう言うものかな?」


「能天気だな、お前…… これからまた死ぬかもしれないんだぞ」


「そうだけど……なんだかワクワクしない?」


「そうか……そうか……?」


「そこの人ー、君はこっち」


ノシャがドーソに呼ばれる。 


「じゃ、また後でね」


ノシャはドーソの方へ小走りで行く、いよいよトタロウのスキル鑑定までもう少しだ。


ルイカがサーベに呼ばれ、そっちの方へ行く。 いよいよ残るはトタロウだけだ。


そしてついに……


「最後、そこのお前」


ツルに呼ばれ、トタロウも小走りでツルに近づいていく。 トタロウは今、不安と期待で胸がいっぱいになっている。


(確かに、ちょっとワクワクするな……)


ツルから身分証明書のようなカードを渡される。


「これはステータスカードというものだ。 なくすなよ」


そのカードに触れると、無地だったカードから写真と文字が浮き出てくる。


写真は撮った覚えのないトタロウの顔が写っている。


その横の文字はこう書かれている。


千井 途太郎(ちい とたろう)

パワー 50

ガード 45

マジックポイント 65

スキル 能力付与 必要マジックポイント 5

効果 このスキル発動時、全ステータスを0.1上げる

世界番号 80


(多分、絶対外れスキルだ……)


トタロウは、カードに書かれた文字を見ながらそう思った。






 











お読みいただきありがとうございます!

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