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トリニティポータル  作者: 木山碧人
第八章 世界の終末

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第92話 独創世界『千年帝国』

挿絵(By みてみん)





 いつから『帝国』は日本の代名詞になったのか。


 世界共通語が『帝国語』と呼ばれるのはなぜなのか。


 ある時を境に『帝国』が一つに絞られたのはどうしてか。


 時の流れ、世界大戦の結果、植民地の独立、民族自決の浸透。


 理由は色々あるだろう。今時のトレンドに合ってないのも頷ける。


 帝国=植民地支配という負のイメージが強く、戦争被害を想起させる。


 独裁主義的思想の象徴でもあり、国名にするのは避けられる傾向にあった。


・大英帝国→イギリス。


・フランス植民地帝国→フランス共和国。


・ドイツ帝国→ドイツ共和国。


・ロシア帝国→ソビエト連邦→ロシア連邦。


・オスマン帝国→トルコ共和国。


 このように、代表的な帝国は国名を変えていった。


 吾輩の故郷であるドイツも当然ながら例外ではなかった。


 ザ・独裁主義。当時の権力者のやり方が世間から非難を浴びた。


 ――アドルフ・ヒトラー。


 ドイツ人至上主義の思想を持ち、第二次世界大戦に導いた。


 支配地域にいたユダヤ人を、強制収容所に集めて大量虐殺した。


 歴史的に見ても類を見ない悪行。人の権利を無視した最悪の指導者。


 全世界から痛烈な批判を浴びて、『帝国』が忌み嫌われる原因ともなった。

 

 ――今のトップメタは民主主義だ。


 国民は『自由』と『平等』を求め、政治の意思決定に関わる。


 ある種、ヒトラーの思想を反面教師にした結果だと言えるだろう。


 そのおかげか、世界大戦時に比べれば、戦争は減少する傾向にあった。


 世界平和とまでは行かんが、権力者の暴走は国民に抑制されて、今がある。


 ヒトラーを祖父に持つ吾輩としても異論はなく、淘汰されて当然だったと思う。


 ――ただ、どうして『大日本帝国』は許される。


 第二次世界大戦時、日本はドイツの味方をしていた。


 ヒトラー政権の肩を持ち、イタリアと共に同盟を結んだ。


 枢軸国と呼ばれ、英仏米などの連合国と対立することとなる。


 結果として、枢軸国は敗北し、支配した領土の大半は返還された。


 『大日本』と呼ばれるほどの領土はなく、『帝国』を名乗る威厳はない。


 ――ましてや、『帝国語』が世界共通言語になるのはあり得ん。


 何がどうなったら、敗戦国が世界の基準になる。


 過去を見てきたわけではないが、理解が全く及ばん。


 祖父を否定するのはいいが、日本を肯定するのは許せん。


 同じ枢軸国であったのに、ここまで差がつく理由が分からん。


 ――だからこそ願った。


 吾輩が理想とする、完全無欠の『帝国』。


 ヒトラーとは一線を画する、優しい独裁主義。

 

 想像は『自由』。人間に与えられた『平等』の権利。


 本来なら、決して実現しない野望。淘汰されるべき思想。


 意思の力なら形に出来る。吾輩の思うがままに世界は創られる。

 

 悪魔になり、系統が変わり、芸術系に分類されることで許された領域。


「これぞ吾輩の理想の国――『千年帝国ゲルマニア』である」


 眼前に広がるのは、古典建築を基調とした巨大都市。


 東西南北を貫く広大な道路網には、所狭しと軍隊が並列。


 歩兵部隊と戦車部隊が逃げ場を塞ぎ、たった一名を包囲する。


 銃口と戦車砲が向けられ、上空では無数の戦闘機が待機していた。

 

 装備は旧時代のものではなく、最新鋭のものを積極的に採用している。


 予算の制限はなく、採算度外視で、全装備がフルカスタマイズされた状態。


 ――それらには、近未来的な要素も含まれる。


 量子装甲、重力制御、エネルギー弾、ドローン、レールガンなど。


 【火】に重きを置いた文化から脱却し、次世代の【電気】を取り入れた。


 既存の兵器が使用不能になった世界において、現状、最強の軍隊だと言えた。


「雑兵ばかり並べたもんだな。軟弱な民を武装で固めるのがお前の理想か?」


 包囲されるスサノオは、萎縮せずに思ったことを口にしていた。


 実際、一人一人の力は奴に遠く及ばん。雑兵呼ばわりも無理はない。


 一般の兵士が神と同等。そう思えるほどの想像力は持ち合わせておらん。


 ――だが。


「民を束ねることが吾輩の理想。力も武装も手段に過ぎず、目的になり得んぞい」


 道路南の最前線に立つ吾輩は、質問に答える。


 スサノオとの距離は数百メートルほど離れている。


 それでも、声を張れば届くほどの場所に位置していた。


「あぁ、そうかよ。だったら今の内に、お山の大将を気取っとけ」


 スサノオの雰囲気が変わる。赤いセンスを纏い、両手を掲げる。


 予期した展開。避けられない闘い。戦争を手段とするのは祖父と同じ。


 それでも守るべき者がいる。命令を無視し、信念を曲げるに足る理由がある。


 だから――。


「理想は打ち砕かれるんだからよぉ!!! この俺様になぁ!!!!」


「第一陣、撃てぇ!! 国家の存続を脅かす敵を必ず掃討せよ!!!」

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