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トリニティポータル  作者: 木山碧人
第八章 世界の終末

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第71話 戦術と戦略

挿絵(By みてみん)





 覚醒都市バイカルヴェイ北部。『煉獄の門』近辺。


 三つの『検問』と、三つの『結界』を越えた先の空間。


 都市は大規模的に停電し、辺りは沈黙と暗闇に満ちていた。


 ――訪れたのは、エミリア・アーサー。


 金髪碧眼、お団子ヘア。身長は高く、胸は大きめ。


 体躯はスラリとして、余分な脂肪は削ぎ落とされる。


 服装は、青のジャケット、青のスカート、黒のヒール。


 首元には水玉模様のスカーフを巻く、現職の客室乗務員。


 イギリス王室の血統ながら、王位継承権のない『落とし子』。


 移動系の能力を有し、ここまでリーチェを陰ながら支えていた。


 ただ、他の情報は謎に包まれており、目的も動機も定かではない。


「こちらが覚醒都市の観光名所、『煉獄の門』でございます」


 エミリアは聞きかじった知識を元に、災害の中心地を紹介する。


 背後には、意思能力『地の案内人(ローカル・ガイド)』で瞬間移動した四名の姿があった。


「……門は開いたままのようね」


「イゴール曹長はダウン。敵影は見えない」


 リーチェは門の奥を見つめ、ターニャは状況を報告。


 門番をしていた細身の金髪男性は、門のそばで倒れている。


 ただならぬ気配が漂い、その原因となる何かは特定できずにいた。


「妙だね。ここは入口。内側からは開かないはずなんだけど……」


 仕様を知るオレグは、いち早く違和感を指摘する。


 『煉獄の門』は、入口と出口の二種類。基本は一方通行。


 ここは入口に該当し、内側から開くことは、まずあり得ない。


 唯一の例外は――。


「魔獣が……攻めてくるぞ……っ」


 やや怯みを見せるベクターの視界の先には、大量の魔獣。


 一方通行を無視できる存在が、『煉獄の門』を抜けようとしていた。


「黒幕に良い様に使われてる感は否めないけど……」


「都市は死んでも防衛する。そのための白軍なんだから!」


 リーチェは拳を構え、ターニャは黒熊のぬいぐるみを両手に持つ。


 オレグとベクターは無言でエミリアの周囲を固め、都市防衛戦が始まった。


 ◇◇◇


 煉獄界、覚醒都市に通じる『煉獄の門』入口付近。


 当初の予定とは違い、ベズドナたちは踵を返していた。


 大量の魔獣が流れ込む光景と、現れた敵軍の傍観を続ける。


「これは思ったよりも大物が来たね。戦ってもいいが……今じゃない」


 岩陰に隠れるベズドナは、相手を分析し、感想を口にする。


 戦略的な撤退。少なくとも、無理やり強行する場面じゃなかった。


 その上半身は裸になっており、元々着ていた赤の軍服は脱ぎ去っていた。


「逃げるのはいいとして、この先はどう出るおつもりだ? ベズドナ殿」


 先を見据えて話を転がすのは、ボルドだった。


 建設的な内容に思えるが、内心は恐らく逆だろう。


 両腕を組み、戦いたくてウズウズしてるように見えた。


「出口から順当に出る。今ならそっちの方が難易度が低いはずだよ」


 ベズドナは、隣にいる少女の頭に手を置いた。


 長い銀髪で頭頂部にあるケモ耳がピクリと揺れる。


 服装は、ベズドナが着用していた赤の軍服に袖を通す。


 袖は余り、身丈は長いが、裸体を隠す機能は果たしている。


 ――彼女は、不幸を産む人形(ベドゥーシュカ)の副産物。

 

 魔獣を四体狩り、人形に納めて誕生した人間と魔獣の合成獣人キメラ


 生まれた時から意思を持ち、必要最低限の知識と能力を身に着けていた。


らないの? わたしがいれば、勝てるよ?」


 不平不満を露わにし、やや好戦的な反応を見せる。


 実力を過信してるか、相応の実力を秘めているかは不明。


 ただ、戦闘に誰よりも自信を持っているのは間違いないだろう。


「勝ち方にこだわってこそ一流さ。……君もそう思うだろ?」


 ベズドナは少女をたしなめ、最後の一人に視線を送る。


 そこにいたのは、白のタンクトップに紺のジーンズを履く男。


 屈強な肉体を誇り、短い黒髪に褐色の肌をした、覚醒都市の犯罪者。


「――アンドレア・アンダーソン」


 仲間に加え入れた最強の手札の名を、ベズドナは語る。


 彼こそが煉獄界の本命。道中の相棒。真の意味での『忘れ形見』。


「ああ……。師匠と感動の再会を果たすのは、まだ早い」


 密やかに同意を示し、視線は明後日の方向に向いていた。

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