山岸良一
「あんたなんて、生まれて来なければ良かったのに!!」
と、言われて産声を上げたのが僕。
山岸良一だ。
産声を上げ泣きわめく中、なぜか親が泣くという病室は地獄絵図だった。
母親の、「あんたが産まれて来たから!私の人生めちゃくちゃよ!!」
という、言葉が耳に入ったところから僕の記憶は始まった。
家にはベビーベッドも無く、地べたに置き去り。そして、ミルクも気分がいい時だけしか与えてくれなかったことを今でも覚えている。
父親は、唯一まともな人だった...。
だけど、息子の意見を尊重するような良い父親ではなかった。
僕を見るに、睨めつけていつも「なぜ、こいつの食費を出さないといけないんだ」と。
小学生になり、初めて友達が出来たけどその友達も僕の、家庭環境が悪いという噂がお母さん界隈で出回り、友達も遠ざかって行った。
だが、不登校にはなるなと母親に怒鳴られたため、学校には行っていた。
だが、友達を作ろうとしてもみんな
「良一、臭いーー」「おもしろくない笑」「家庭崩壊笑笑」
あまりにも、酷すぎたから、教師に言っても、
「それは友達同士の問題だ、あなた達で解決しなさいと」
全く教師は、助けてくれなかった。
僕が先生にその事を訴えているのを悪い友達が、なんと見ていたのだ。
「なんで、先生に言ったの?」
黙り込むことしか出来ない。
「こっち来いよ、分からせてやるよ」
そして、体育館の裏で殴られ蹴られ泣きわめく毎日だった。
先生に、バレて説教されたくないためその子直々に暴力を振るのではなく、あと少しで卒業する兄に頼んでいるのだ。そうすれば、万が一僕がまた訴えても先生が特定出来ないからだ。
顔にはたんこぶが何個も、できながら家に帰る。
だが、その日僕は人生で初めての幸せを噛み締める時が来るのであった。